2025年10月27日
SAPシステム導入事例から読み解く!予測困難な時代を勝ち抜く、CPG業界変革の3つのポイント
地政学的リスクや円安、原材料価格高騰など、国内CPG(消費財)業界はかつてないほどに複合的な課題に直面しています。変化の激しい市場環境で持続的成長を実現するには、データに基づく意思決定のスピードと的確性が求められます。
しかし、多くの企業では外部環境に対応する為に各部門で最適化を進めた結果、レガシーシステムがサイロ化し、データが分散している状況です。この現状からの脱却策として注目される基幹システム刷新には、経営視点と現場視点の両軸からのアプローチが求められます。
CPG業界をはじめ幅広い分野でSAP S/4HANAの豊富な導入実績を持つJSOLが、実践から得た知見とノウハウをもとに、CPG企業が抱える「5つの課題」とその解決に向けた「3つのポイント」を、成功事例を交えて詳しく解説します。
1.CPG企業が直面する5つの共通課題
国内CPG企業の情報システム部門やDX推進室との対話を通じて明らかになった、業界共通の課題を整理しました。
(1)データドリブン経営を阻害する部門最適化の弊害
国内CPG企業の多くは、消費者や得意先(問屋、小売り)の顧客ニーズに対応することで競争優位性を確保してきました。各部門が顧客ニーズに迅速に対応するため部門最適でシステム開発を進めた結果、データの個別保有とシステムのサイロ化が進行。部門横断でのデータ利活用が阻害され、利益改善要因の分析や物価上昇に応じたポートフォリオ見直しなど、ビジネス変化への迅速な意思決定に必要なデータ統合が困難になっています。
(2)経営層と現場、営業部門と生産部門間の情報格差
部門最適化により、経営層が全社を横断したデータをリアルタイムに把握できないため現場状況を正確に捉える事ができず、経営戦略の現場への効果的な展開が困難になっています。特に日配・直販業態は、短納期対応のため生産計画がたてづらく、営業からの特売・販促情報の共有が遅れた場合など認識のズレが生じがちです。
(3)事務部門の非効率性が現場の生産性を阻害
現場ではクラウドサービス活用により生産性向上が進む一方、事務部門ではレガシーシステムとExcel中心の業務が残存し、効率化が遅れています。この格差が現場の間接業務負荷増大を招いています。
(4)損益・原価管理における情報提供の遅延
適切な損益管理には精緻な原価管理が不可欠ですが、原材料価格が気候・為替・物流費などで日々変動するCPG業界では、現状月次での管理が限界です。日次売上と基準原価から予測可能な週次管理の実現には、予測精度の向上が鍵となります。
(5)生成AI活用に向けた基盤整備の遅れ
AIエージェントへの期待が高まる中、その前提となるデータ統合が未整備のため、部分最適化されたデータ範囲内でしかAI活用できない状況にあります。生産・販売・在庫・物流を横断したAI自動化による生産性向上の実現が急務となっています。
2.先の読めない時代に、CPG企業が勝ち抜く「3つのポイント」
<ポイント1.>
全体最適による業務プロセス標準化とデータ統合
~基幹システム基盤にSAP S/4HANAを導入するべき理由~
SAP S/4HANAは、生産、在庫、販売、物流、人事、会計など業務プロセスを、全体最適の観点で一元管理できるERPです。レガシーシステムと周辺システムの複雑な連携から脱却し、データの統合・標準化により、鮮度と精度の高い情報可視化を実現します。インメモリ型データベースによりデータ処理を高速化し、効率性やリアルタイム性を高めます。また、SAP S/4HANA Cloud導入により、SAPがインフラとアプリケーション運用を担うため、運用負荷軽減とIT人材の戦略的活用が可能になります。
基幹システム刷新は業務プロセス変革を伴うものです。世界で導入が進むSAP S/4HANAの導入により、業務のグローバル標準化を実現し、海外進出時もスムーズな事業開始が可能です。
AIを利用する環境の整備も進みます。SAP S/4HANAはAI機能のラインナップも拡充。AIコパイロットのSAP Joule(ジュール)は、従業員の専門知識と能力を最大化するAIエージェントが組み込まれています。SAP S/4HANAで一元管理し整流化された社内データや、APIにより連携した社外データを活用し、複数のAIエージェントを組み合わせ、調達、購買、財務などの各業務や、業務をまたがるプロセスにおいて生産性の大幅な向上が図れます。
<ポイント2.>
標準化と競争優位性の両立
~国内CPG業界向けテンプレート「J-Model」の活用~
CPG業界では、標準化による効率性向上と自社独自の強みの維持という、一見相反する要求の両立が重要です。JSOLが開発したCPG業界特化テンプレート「J-Model CP(Consumer Products)」は、計画立案方式、生産調整ノウハウ、即日出荷体制など、各社の競争優位要素を標準化基盤上で実現します。
J-Model CPは単なるテンプレートではなく、JSOLのCPG業界における豊富なSAP導入実績とノウハウを集約したソリューションです。大量受注・出荷処理に対応するハイパフォーマンス設計、多様な取引先対応、複雑な帳合管理、トレーサビリティ確保など、業界必須機能を網羅しています。また、過去プロジェクトで実用されたソフトウェアのライブラリ化により、アドオン開発コストを抑制しながら現場の強みを活かした仕組み構築が可能です。また、SAP S/4HANAのアップデートに影響されない設計により、長期的な保守性も確保しています。
さらにJSOLでは、CPG企業のニーズに応じてEDI(電子データ交換)など周辺システムも豊富に用意しています。
ECC6.0の2030年までの利用は危険!?
上述で、ECC6.0のサポート期限は2027年 と記しましたが、厳密にはECC6.0のサポート期限は以下の通りとなります。
・ECC6.0 EhP0~EhP5:2025年12月まで
・ECC6.0 EhP6~:2027年12月まで
・ECC6.0 EhP6~:有償延長サポートにより、2030年12月まで
上記より、「2030年までECC6.0を使い続けられる」と思われたユーザ企業は注意が必要です。
この理由として、2027年を過ぎたあたりから、S/4HANAをオンプレミスで導入したユーザ企業がRISEやGROWへ移行する可能性がある点、また、メインストリームメンテンナンスが7年となったS/4HANA2023が2030年にサポート切れとなり、アップグレードが行われる点、が挙げられます。
JSOLは、ITコンサルティングにより標準化を広げなかから、それを阻害しないかたちで、J-Model CPにより各社の強みや特性を生かしていきます。
<ポイント3.>
基幹システム刷新、やりきれるパートナー選択
~ITコンサルティングから構築・運用までワンストップで支援~
基幹システム刷新には、IT技術のみならず業務知見、経営・現場双方への理解など多角的視点が必要です。JSOLは、ITコンサルティングからシステム開発、構築・運用まで一貫したワンストップ支援を提供します。
一般的なコンサルティングとは異なり、自社でPoC(概念実証)を実施・検証した上でお客様に提案します。導入そのものではなく、実装と効果創出に価値を重視するアプローチです。また、JSOLのITコンサルティングは経営層と、システム開発・構築担当は現場と、それぞれに寄り添う伴走型で「最後までやりきる」ことを企業文化として根付かせています。現場の協力が不可欠な基幹システム刷新において、各企業の情報システム部門と連携した課題解決支援によりDX推進に貢献します。
JSOLはSAP導入プロジェクトにおいて中断実績はありません。この姿勢は「SAP AWARD OF EXCELLENCE」28回受賞、「PROJECT AWARD」11回受賞として、SAPからも高く評価されています。
3.成功事例:ライオン株式会社様の基幹システム変革
経営ビジョン実現に向けた戦略的取り組み
日用品大手のライオン様は、2018年策定の経営ビジョン「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」の実現において「リアルタイム経営」を重要テーマとして位置づけました。レガシーシステムと部門最適システムからの脱却、業務プロセス改革による、データに基づく迅速な意思決定基盤の構築を目指し、全体最適による基幹業務一元管理ERPとしてSAP S/4HANAの導入を決定しました。
JSOLパートナーシップの成功要因
プロジェクトパートナーとしてJSOLを選択した理由は、ITコンサルティングからシステム構築・運用までのワンストップサポート提供力と、ERP導入における確実な成功実績でした。
JSOLは、CPG業界の業務改革・システム導入経験とノウハウを活かし、同社の基幹業務変革を支援。国内屈指のSAP S/4HANA導入実績で培ったノウハウを駆使し、標準機能の徹底活用とアドオン機能の最小化を実現しました。J-Modelの活用により導入効率化を図るとともに、標準機能では対応困難な要件への追加開発にも対応しました。
4.プロジェクト成果と今後の展開
経験豊富なプロジェクトマネージャーとITコンサルタントによる伴走型支援により、導入支援、業務改革、全体マネジメントの各役割を担い、関係者との綿密なコミュニケーションを通じて課題を一つひとつ克服。2022年5月に新基幹システムの本稼働を実現しました。
新システムにより業務プロセス効率化とシステム基盤統合によるコスト削減を達成。データに基づく損益予測と事業ポートフォリオ見直しなど、経営層のデータドリブン意思決定シーンが拡大し、変化に強い企業への変革が進展しています。
詳細事例<ライオン株式会社様導入事例 >
https://www.jsol.co.jp/casestudy/073_lion.html
JSOLは、ライオン様以外にも大手飲料メーカー、化粧品メーカー、菓子メーカーなど、CPG業界の幅広い分野で導入実績を積み重ねています。
■企業に寄り添い、一緒にあるべき姿の実現を目指す
CPG業界においても生成AIとAIエージェントの活用が成長の重要な推進力となっていきます。効果的なAI活用には、データへのアプローチ手法、加工プロセス、サービス連携などの環境整備が前提となります。
重要なのは「AIを使って何をどのように改善するか」という明確な目的設定です。JSOLには、データ分析やAIに特化した部門があり、基幹システム刷新と連携したAI活用支援も提供しています。
SAP S/4HANA導入実績とCPG業界システム化に関する豊富な知見の融合が、JSOLの差別化要素です。中堅CPG企業や日配・直販企業においても、経営にインパクトのある領域からSAP S/4HANAを段階的に導入することで、初期投資を抑制した変革が可能です。
重要なのは、将来のあるべき企業像を描き、そこに向かって着実に歩を進めることです。JSOLは企業に寄り添い、ともにあるべき姿の実現を目指します。ぜひお気軽にご相談ください。
お問い合わせ
CPG業界のデジタル変革やSAP S/4HANA導入に関するご相談は、JSOLまでお気軽にお問い合わせください。
SAP S/4HANA 導入支援
https://promotion.jsol.co.jp/sap/implement.html
SAP S/4HANA 移行サービス
https://promotion.jsol.co.jp/sap/migration.html