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2025年04月11日

データビジュアル化による価値探索とAI活用の最前線

近年、多くの企業ではデータ活用のための基盤構築に関する取り組みが活発化しており、次なる課題としてデータの効果的な活用方法を模索されている方も多いのではないでしょうか。

その中で、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールを用いたダッシュボード構築は単なる「見える化」を超えて、意思決定につながるような価値を引き出す重要なプロセスとなる場面も多いです。

本記事では、データのビジュアル化を通じた価値探索の方法、ダッシュボード運用方法とBIツール紹介、そして最新のAIツールを活用した最新トレンドについてご紹介いたします。

本記事を通じて、読者の皆様がデータビジュアル化の重要性を再認識し、自組織でのデータ活用を加速させるための参考になれば幸いです。

  • 著者情報

    堀 恵大、坪内 進史

    データ&テクノロジーコンサルティング事業本部 クラウドテクノロジー部
    堀 恵大:
    AWS技術を利用したデータ活用・AI基盤構築の支援をしております。元事業会社のエンジニアで、社内のDX推進業務にてデータエンジニアリング・分析を担当しておりました。

    坪内進史:
    クラウドやアジャイル、データ活用技術の専門性を活かし、ソリューションの企画・推進やプロダクトマネジメントを担当。直近は、組織におけるデータ活用の自走化を目的とした、データ活用支援を実行中。課長。

効果的なデータビジュアル化の基本原則

データビジュアル化は、複雑に絡み合ったデータを必要な情報に絞り込み、理解しやすい形式に変換するプロセスとなります。

効果的なビジュアル化には、以下の基本原則が重要です。

1.目的の定義 : 要件整理の第一歩は「ダッシュボードを見る人は誰であるか」を考え、5W1Hを整理していきます。最上位の目的から、ダッシュボードを見る目的、利用シーン、ダッシュボードの機能とより詳細な内容に落とし込んでいくステップが必要となります。

2.制約条件の理解 : ダッシュボードを構築する上での制約・データの制約の2点から、組み込む情報の取捨選択を行っていきます。

3.ダッシュボードタイプの選択 : ダッシュボードタイプは、モニタリング型・課題解決型・分析型の大きく3つに分けられます。
 ・モニタリング型では、更新頻度が低く、ビジネスの全体感を把握するためのKPIモニタリングなどに利用します。
 ・課題解決型では、特定の課題に対して、概要から詳細へ徐々にドリルダウンしていくような構成でデータを深掘りしていくために利用します。
 ・分析型では、課題の発見や原因分析を行うアナリストが利用します。データをより深く探索できるように、フィルタリングやドリルダウン機能を実装します。

4.色彩の適切な使用:色は情報を強調するために使用し、過度な使用は避けます。

5.データの文脈提供:軸ラベル、単位、時間範囲など、データを正確に解釈するために必要な情報を記載します。

これらの原則を踏まえ、以下のステップでデータビジュアル化を進めます。

1.データ理解と前処理:データの性質、分布、欠損値などを把握し、必要な前処理を行います。
2.適切なビジュアル化手法の選択:データの種類(時系列、カテゴリカル、地理的など)に応じて、最適なビジュアルタイプを選びます。
3.デザインの検討:レイアウト、色彩、フォントなどを調整し、ユーザが視覚的に理解しやすいデザインに仕上げます。
4.インタラクティブ要素の追加:特に分析型では、ユーザーがデータを深く探索できるよう、必要に応じてインタラクティブな機能を実装します。
5.テストと改善:ユーザーフィードバックを基に、継続的な改善活動を行います。

適切なデータビジュアル化のプロセス実践は、データの洞察を迅速に得るだけでなく、組織全体でのデータ活用文化の醸成にも貢献します。

※「ダッシュボードデザインの実践ガイドブック」(デジタル庁)(https://www.digital.go.jp/resources/dashboard-guidebook)をもとに株式会社JSOL作成

ダッシュボード運用フローとAmazon QuickSightの活用

データビジュアル化プロジェクトを効果的に進めるには、体系的なアプローチが必要となります。
ここでは、一般的なダッシュボードの運用フローとAWS社のBIサービスであるAmazon QuickSightを用いた実践方法をご紹介します。

運用フローの主要ステップ
1.データ管理
・必要なデータソースの特定と接続
・データ品質の定期チェックと維持
- QuickSightでは、データセット機能を活用し、必要なデータソースを接続・自動更新機能にてデータ更新スケジュールの設定可能

2.ダッシュボード設計と実装
・ビジネス要件に基づいたダッシュボードの設計
・インタラクティブ機能(フィルター、ドリルダウンなど)の実装

3.アクセス管理
・ユーザー役割に基づいたアクセス権限の設定
・シングルサインオン(SSO)の導入検討
- QuickSightでは、アクセス管理サービスIAMと連携したアクセス制御の設定・ユーザーやグループ単位でのダッシュボード共有が可能

4.パフォーマンス最適化
・ダッシュボードの読み込み時間の定期的なモニタリング
・クエリの最適化とキャッシュ戦略の実装
- QuickSightでは、インメモリエンジンのSPICEを利用し、高速なクエリ処理も可能

5.ユーザーサポートとトレーニング
・初期ユーザートレーニングの実施
・ヘルプデスクまたはサポート窓口の設置
- QuickSightでは、Amazon QuickSight Communityにてユーザ同士のネットワークによる技術課題の相談が可能

6.監視と改善
・ダッシュボード使用状況メトリクスを活用したモニタリング
・ユーザーフィードバックに基づく定期的な改善
・データセットの効率的な管理:複数のダッシュボードで再利用可能なデータセットを作成
・セキュリティの確保:行レベルのセキュリティを実装し、ユーザーごとにデータアクセスを制御

このフローを基本として、組織の特性に応じてカスタマイズすることで、ダッシュボードの効果的な利用を推進することができます。重要なのは、ユーザーニーズと技術的可能性のバランスを取りながら、継続的に改善を重ねていくことです。

AIを活用したデータビジュアル化の最新動向

人工知能(AI)技術の進歩により、データビジュアル化の領域にも革新的な変化がもたらされています。
その一例として、QuickSightにて提供されているML Insights・Amazon Q for QuickSightの2つをご紹介します。

1.ML Insights
- 機械学習アルゴリズムを使用して、データセット内の重要なパターン、異常値、トレンドを自動的に検出し、視覚化します。

主な特徴:
・異常値検出:通常のパターンから逸脱したデータポイントを自動的に特定
・予測分析:時系列データの将来トレンドを予測
・自動ナラティブ:グラフの特徴を自動テキスト要約
活用例:
売上データの分析において、季節変動や特異な売上パターンを自動的に検出し、視覚化・言語化することで、分析者が見逃しがちな洞察を提供します。

2.Amazon Q for QuickSight
- 自然言語でのデータクエリを可能にし、複雑なSQL知識なしでもデータ探索を行えるようにします。

主な機能:
・自然言語クエリ:「先月の売上トップ10製品は?」などの質問に直接回答
・自動ビジュアル化:クエリ結果に最適なチャートタイプを自動選択
・コンテキスト理解:ユーザーの過去のクエリや役割に基づいて回答をカスタマイズ
活用例:
営業マネージャーが「地域別の四半期売上推移」を自然言語で尋ねると、適切なグラフが自動生成されます。

これらのAIツールにより、技術的なスキルに関わらず、より多くの従業員がデータ分析に参加できるようになります。また、分析時間の短縮・新たな視点での洞察・タイムリーな意思決定の促進などにも大きな影響をもたらすでしょう。

AIを活用したデータビジュアル化ツールは、組織全体のデータ活用能力を大きく向上させる可能性を秘めています。ただし、これらのツールを効果的に活用するためには、適切なデータガバナンスと、AIの限界を理解した上での利用が不可欠となります。

※ 出典:「Amazon Web Services」

まとめ

データビジュアル化は、単なるデータの可視化を超えて、組織の意思決定プロセスを変革する強力なツールとなっています。ビジュアル化の基本原則を押さえ、適切なダッシュボード運用体制を構築していくことで、データから大きなビジネス価値を継続的に得ることが可能になると考えます。
さらに、AIを活用した最新のツールは、データ分析の民主化と効率化を促進し、組織全体のデータリテラシー向上にも貢献します。しかし、これらの技術を最大限に活用するためには、明確な目的設定、継続的な改善、そして人間の洞察力との適切な掛け合わせが不可欠となります。データビジュアル化を戦略的に活用することで、企業は競争優位性を獲得し、データドリブンな文化を醸成することができるでしょう。

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