2025年10月15日
マスタ管理とは?
効率化の方法から活用事例までご紹介!
業務効率化やDX推進において、データ活用は必要不可欠であり、そのデータを効果的に活用するためには、「マスタ管理」が必要です。
本記事では、マスタ管理のメリットや方法、よくある課題や、効率化に役立つシステムについて分かりやすく説明します。マスタ管理に興味がある方や、課題を抱えている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
マスタ管理とは
そもそも「マスタ」とは、業務において重要な基本データを指す「マスタデータ(Master Data)」の略称です。
企業や組織が扱うマスタデータには様々な種類がありますが、「商品マスタ」「顧客マスタ」「従業員マスタ」といったものが代表的です。
たとえば、商品マスタには商品の型番や名前、仕入価格、購入ロット、JANコードなどの情報が含まれます。マスタ管理とは、これらのマスタデータを統一的に運用・管理することを指し、「MDM(Master Data Management)」とも呼ばれます。
マスタデータを適切に管理することは、業務の円滑化、ガバナンスの向上、そしてデータの有効活用にとって重要です。最近ではDXの重要性が高まる中、多くの企業がMDMの強化に取り組んでいます。
マスタ管理の重要性
ほとんどの企業が顧客データなどを活用していますが、部署ごとに異なるシステムを使用しているため、顧客マスタデータがシステム間で分断され、一致しない場合がよくあります。
企業の中には、重複したり不完全なデータが多数存在することで、全体像を正確に把握できないなどの問題を抱えている場合もあります。
しかし、MDMを実施することで、データの一貫性や品質を確保できるため、意思決定に必要なデータの信頼性が向上します。
マスタ管理の市場
海外では、早い時期からMDMの重要性が認識され、2006年時点でMDM関連ソフトウェアの売上高は約340億円となり、2010年から2012年にかけては市場規模が約2,000億円前後に成長しました。
しかし、国内市場では、重要性を認識してはいるものの、本格的な取り組みには至っていないケースが多いようです。
マスタ管理のメリット
MDMの重要性が国内で高まっていることが分かりました。では、MDMによりビジネスにどのようなメリットが生じるのか具体的に見ていきましょう。
的確なオファーによる収益向上
個々の顧客に合わせたクロスセルやアップセル戦略の成功には、その顧客の接点に関連する信頼性の高いデータが欠かせません。
MDMは顧客や製品のマスタデータを整合させ、顧客と製品のデータを統合します。
正確なデータに基づく運用により、顧客は異なるチャネルから同じサービスを受けることができます。顧客を深く理解することで、適切なタイミングで適切な提案を行い、クロスセルやアップセルを効果的に実施することが可能です。
生産性の改善
MDMは、マスタデータの品質、整合性、信頼性を向上させます。品質の低いマスタデータによるITの負担や業務の非効率を軽減し、全体的な生産性を向上させます。
企業全体で製品、顧客、サプライヤー、場所などのデータの誤解を解消し、従来の誤解や再調整、確認に費やしていた時間と労力を大幅に削減できます。
サプライチェーンの可視化
MDMにより、サプライチェーン全体を包括的に可視化することが可能になります。
正確な製品マスタデータがあれば、在庫、返品、および欠品などの情報を一元的に把握し、全社の在庫最適化、需要予測、顧客満足度の向上が可能となります。
正確で適時な情報は、サプライチェーン業務、計画システム、ビジネス意思決定において、すべてに価値をもたらします。
迅速なアクションによる効率化
MDMのマスタデータに直接アクセスすることで、データから課題を抽出するまでの時間を短縮することができます。
一つの製品について、製品マスタを介して各システムのデータを統合的に活用でき、さらに製品からベンダーまでの情報を追跡することで、より豊富な情報が得られます。
このアプローチは、新製品や新サービスを迅速に導入するための時間短縮に特に有効です。
ロイヤリティの向上
マスタデータを活用して顧客情報を統合することで、顧客のロイヤルティ向上が期待されます。
顧客に適した体験価値を提供することで、どのチャネルでも一貫した対応が可能になり、製品やサービスの適切なカスタマイズが可能となります。
コンプライアンスのリスク抑制
中央で管理されたマスタデータを持つことで、コンプライアンス報告の手間やペナルティのリスクを軽減できます。
ベンダーや製品に関する問題が少なくなるため、コンプライアンスに関するリスクを最小限に抑え、新製品の導入や新ベンダーとの契約プロセスのスピードが向上します。
マスタ管理のデメリット
このように、MDMは業務改善や顧客満足度向上など、多くの利点がある一方で、課題も存在します。MDMを実施する際に失敗しないために、デメリットも確認しておきましょう。
コストと時間を要する
社内でMDMを実施する際には、要件定義から、現状分析、アーキテクチャの設計、 データモデルの構築、 データ管理体制の整備等の手順が必要です。
上記の通り、多くの作業が必要であり、開発費用や人件費、そして時間も多くかかります。したがって、すぐに実施可能なものではなく、長期的なスパンで計画的に開発を進めることが重要です。
マスタの棚卸しを要する
MDM実施環境が整った後は、マスタの監査作業を行わなければなりません。
例えば、「商品マスタ」に新しい商品が入荷するたびに、順次登録作業を行いますが、マスタに登録されていない商品が発生すると、顧客がレジで待たされ、レジ係が売り場に価格を確認する必要が生じるなど、余分な手間が生じる可能性があります。
このような問題を防ぐためには、不要なデータや期限切れのデータを定期的に更新することが必要になります。
マスタ管理の方法
ここからは、MDMの基本的な手順について解説します。
目的と要件定義
最初に、MDMの目的と要件を明確に定義します。
例えば、「業務効率化のためにデータ検索時間を短縮したい」「データの整合性を確保して正確なデータ分析や意思決定を行いたい」または「データの統合や整理を通じてセキュリティリスクを軽減したい」というように、企業ごとに異なるマスタ管理の目標があります。
さらに、これらの目標を達成するために必要な機能や体制を検討し、目指すべきMDMの形を定義します。
データの現状分析
次に、社内データの現状を分析します。データ管理の場所や方法を具体的に把握し、現行の運用体制を把握します。定義した要件と照らし合わせ、データの配置や品質、プロセスなどに問題がないかを丁寧に確認します。
その後は、目的に適したデータを整理・収集します。定義した要件と整合させながら、データの統合や更新、標準化を行い、目的達成に必要なデータを揃えます。
運用プロセスの整備
マスタレコードの漏れを防ぐために、運用プロセスを明確に定義します。さらに、マスタ管理において新しいデータの登録や更新をする場合は、データの品質や整合性を維持する必要があるため、マスタ登録や更新に関する統一されたルールやガバナンスポリシーを策定し、関係者に周知します。
そして、運用が開始された後も、定期的にプロセスを見直し、改善を繰り返すことが重要です。
マスタ管理の活用ポイント
ではここから、マスタ管理を効果的に活用するためのポイントを2つご紹介します。
筋道を立てて準備する
前述したとおり、マスタ管理は一朝一夕で始められるものではありません。一気にマスタ管理のための環境を整備するというのは、なかなか難しく失敗する確率も高まってしまいます。マスタ管理を行う上では、
- 製品の在庫管理の前提条件の設定
- マスタを変更できる権限設定
- 一つ一つの商品をマスタへ登録
- 発注業務の自動化
など、筋道を立てて一つずつ順番に行っていくことが大切です。
先に述べた通り、マスタ管理は急いで始められるものではありません。一度にマスタ管理のための環境を整えようとするのは難しく、失敗する可能性も高まります。そのため、以下のような手順を踏んで、着実に進めていくことです。
- 製品の在庫管理の前提条件を設定する
- マスタの変更権限を設定する
- 各商品を一つずつマスタに登録する
- 発注業務を自動化する
これらの手順を順を追って進めることが重要です。
管理に適したITツールを導入する
マスタ管理を実施するには多くの時間と労力が必要であり、条件定義や開発など、全ての作業をゼロから行うことは非常に困難です。
そのため、社内ですぐに始められるITツールを導入することで、開発に要する労力や時間を大幅に削減しましょう。
社内エンジニアを抱えていない場合でも、コストを抑えたマスタ管理を実施することができます。
マスタ管理の活用事例
実際に、MDMを行い、効率化に成功した2つの事例をご紹介します。
分散データ一元化による開発コストの削減
建材メーカーの三協立山株式会社様は、三協アルミと立山アルミの合併により設立され他企業です。
複数の業務システムやそれぞれ異なるメーカーのメインフレームを使用していたため、各社の業務システムからデータを収集し、分析する手間がかかっていました。
そこで、データ連携ツールの「ASTERIA Warp」の導入により、分散していたデータを一元化・標準化することで、データ分析が容易になり、開発コストの削減につながりました。
さらに、システム全体が可視化され、メンテナンス性や可用性も向上しました。今後は、関連工場との生産指示や納期連絡などの情報連携にも活用される予定とのことです。
顧客データ共有によるグループ情報の一体化
日立ソリューションズ様は、日立グループのシステム構築を広く手がける企業です。
約800社に及ぶグループ企業からの顧客情報を共有化するために、ASTERIA Warpと情報共有基盤上で日立グループ全体が利用できるマスターを通じて連携する仕組みを構築しました。
約3万件の顧客企業コードをキーとして、日立製作所のグループ情報共有基盤システム側のグループマスターにアクセスし、グループマスターが持つ付加情報を統合することが可能になりました。
今後は、社内システム間の連携を強化し、業務主体で利用可能な統合システムを構築していく予定とのことです。
まとめ
この記事では、マスタ管理の重要性や具体的な手法について解説してきました。マスタ管理は業務の効率化だけでなく、ガバナンスの強化やデータ活用においても重要です。
さらに、ワークフローシステムを利用することで、データを効果的かつ適切に管理することが可能です。
マスタデータの登録や管理に課題を抱えている方は、今回ご紹介した情報を参考に、ぜひワークフローシステムの導入を検討してみませんか。