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ホーム > データ利活用ブログ(あなたのビジネスに最適なデータ戦略を) > 連載企画 第4回 グループ企業の散在するデータを、 ひとつの価値へ。 ~J-MDMのクロスリファレンスが実現する 現実的なデータ統合~

2026年07月19日

連載企画 第4回
グループ企業の散在するデータを、
ひとつの価値へ。
~J-MDMのクロスリファレンスが実現する
現実的なデータ統合~

企業を取り巻く環境が絶えず変化するなかで、いま改めて注目されているのが「データをどう整え、どう活かすか」というテーマです。特に、取引先情報や製品情報といったマスターデータは、業務を支える基盤であると同時に、全社的な分析や意思決定を支える重要な資産でもあります。

一方で現実には、企業内のシステムがひとつに統一されているケースばかりではありません。部門ごと、拠点ごと、あるいはグループ会社ごとに異なるシステムを使っていれば、同じ得意先や製品を管理していても、コード体系や項目定義、運用ルールがそれぞれ異なってしまうことは珍しくありません。
こうした状況のなかで、「散在するデータをどう統合していくか」は、多くの企業にとって避けて通れない課題になっています。
純国産MDMパッケージ「J-MDM」には、そうした現場の課題に応えるための機能としてクロスリファレンス機能があります。

J-MDMの連載企画第4回となる今回は、このクロスリファレンス機能に焦点を当て、その開発背景や利用イメージ、今後の展望について、株式会社JSOLの小梶 義晃氏、有澤 太氏に聞きました。

  • fi5q5q000000288u-img/mdm_cross_reference.png写真

    著者情報

    小梶 義晃、有澤 太

    小梶 義晃
    D&T本 データアナリティクス第一部 第一課

    有澤 太
    E&S統 ビジネスデザイン&マーケティング部 マーケティング&デジタルセールス課 課長

「データをひとつにしたい」でも、現実はそう簡単ではない

マスターデータ管理、いわゆるMDMと聞くと、多くの人が思い浮かべるのは、全社で共通の“正”となるマスターを中心に据え、各周辺システムがそこを参照するような運用ではないでしょうか。いわゆる集権型のモデルです。
理想だけを見れば、この形は非常に分かりやすく、統制もしやすい方法です。全社で同じマスターを使えれば、データの整合性も保ちやすく、分析やレポーティングもスムーズになります。

しかし、企業活動の現場はそれほど単純ではありません。
たとえば、長年使い続けてきた業務システムが部門ごとに異なっていたり、グループ会社ごとに業務フローや管理ルールが違っていたりすると、「全員が同じ形式に合わせる」という統合の進め方には、どうしても無理が出てきます。システムにはそれぞれの歴史や事情があり、業務の都合や利害関係も絡むため、中心となる“ゴールデンマスター”の形にすべてを揃えるのが難しい場面も少なくありません。
その結果、本社や管理部門は「全体でデータを見たい」「グループ横断で分析したい」と考えていても、実際にはデータが分断されたままになってしまう。これは、多くの企業が抱えている現実的な悩みです。

J-MDMのクロスリファレンス機能とは何か

こうした課題に対して、J-MDMのクロスリファレンス機能は、ひとつの現実解を提示しています。
この機能をひと言で表すなら、各システムで異なるコードやマスター情報を関連付け、横断的に“同じもの”として扱えるようにする仕組みです。

J-MDMでは、まず全社で一意となる基準情報、いわば“軸”となるグローバルマスタを用意します。そのうえで、周辺システムから必要なデータを取り込み、表記や形式を整えながら、あらかじめ定義した条件に基づいて照合・紐付けを行います。
たとえば、ある会社のAシステムでは得意先コードが「C001」、別のBシステムでは「10001」として管理されていたとしても、名称や住所、郵便番号、電話番号などの情報をもとに関連付けることで、それらを“同じ取引先”として扱えるようになります。
つまり、各システムのデータを無理に統一フォーマットへ揃え切らなくても、全体としてはひとつの情報として見られる状態をつくることができるわけです。

開発のきっかけは、グループ会社のデータをまとめたいという声

この機能が生まれた背景には、顧客からの切実な要望がありました。
きっかけとなったのは、「グループ企業ごとに別々で保有しているデータをひとつに集約したい」という声だったといいます。
J-MDMにはもともと、各システムへデータを届けるメンテナンス機能や、ノンコーディングでマスター登録が可能な自由レイアウト機能など、標準機能として充実した仕組みが備わっています。これらは主に、中央にあるマスターを起点として各システムへデータを展開する、いわば集権型の思想で設計されています。

一方、クロスリファレンス機能はそれとは少し発想が異なります。個々のシステムに点在しているデータを集めてきて、そこから統合的に参照できる状態をつくる、“集約型”のアプローチが特徴です。
ここに、この機能の本質があります。
すべてを最初からひとつのマスターに合わせるのではなく、まずは分散している情報を見える化し、結び付け、全体として活用できるようにする。そうした段階的な統合の考え方が、クロスリファレンス機能の価値と言えるでしょう。

本社が求める「全体最適」と、現場の運用をどう両立するか

特にグループ経営を行う企業では、本社部門が「各社のデータを統合して分析したい」「全体をひとつの軸で見たい」と考える一方、現場ではそれぞれの業務事情に応じたシステム運用が定着している、という構図がよくあります。
本来であれば、グループ全体で共通のマスターを利用できるのが理想です。しかし、それが難しい場合、データ活用の推進と現場の実情との間に溝が生まれてしまいます。

クロスリファレンス機能は、その溝を埋める役割を果たします。
たとえば、本社部門がこの機能を使えば、各グループ会社で管理している取引先マスターや製品マスターを、グローバルマスタに紐付けながら整理し、分析可能な一意の情報として統合管理することができます。これにより、現場側がすぐにシステムを大きく変えなくても、本社側は全体像を把握しやすくなります。
さらに、将来的にシステム統合や標準化を進める際にも、このグローバルマスタが“つなぎ役”として機能することで、次のステップへ進みやすくなります。いきなり理想形を目指すのではなく、まずは現場の実態に寄り添いながら、統合に向けた土台をつくる。そこに、J-MDMのクロスリファレンス機能の強みがあります。


汎用性と柔軟性を両立するための工夫

こうした機能を実用的なものにするうえで重要なのが、「どんなデータでも扱いやすいこと」です。
小梶氏によると、機能開発では、さまざまなマスターを取り込みやすくするために、あらかじめ複数の汎用項目を持たせることを意識したといいます。名称、住所、郵便番号といった基本情報に加えて、必要に応じて電話番号などの項目を後から設定で追加できるようにしているのも、その一例です。

また、データを一意に識別するためのルールを、ノンコーディングで設定できる点も大きなポイントです。たとえば「住所と電話番号が一致すれば同一データとみなす」といった条件を、パラメータ設定で定義できるため、利用企業ごとの業務要件に合わせて柔軟な運用が可能になります。
システム統合のプロジェクトでは、どうしても「このルールは例外」「この会社だけ運用が違う」といった話が出てきがちです。そうした個別事情に対応できる柔軟性がなければ、現場では使い続けられません。その意味で、クロスリファレンス機能は、実務に耐えうる柔らかさを持った仕組みとして設計されていることがうかがえます。


見えにくかったデータの関係性を、見える形にする

クロスリファレンス機能がもたらす価値は、単に「データを紐付ける」ことだけではありません。もうひとつ重要なのが、データ同士のつながりを可視化できることです。
各システム側で持っているマスター情報が、どのグローバルマスタに紐付いているのかを一覧で確認できるため、これまで見えにくかったグループ会社間・部門間のデータの関連性が把握しやすくなります。
この“見える化”は、分析や活用の観点だけでなく、データ品質の向上という意味でも重要です。データクレンジングの観点から見ても、どのデータがどこに紐付いているのか、どこに揺れや重複があるのかを把握しやすくなることで、品質改善の取り組みも進めやすくなります。
たとえば、グループ会社ごとに別々に管理していた品目マスタや得意先マスタを横断的に見渡せるようになれば、共同配送や共同仕入れといった業務改善の余地も見えてきます。データ統合は、それ自体が目的ではありません。業務全体を俯瞰し、より良い判断につなげるための土台になるものです。クロスリファレンス機能は、その土台づくりを後押しする機能とも言えるでしょう。


苦労したのは、大量データでも処理性能を落とさないこと

もちろん、こうした機能を実現するのは簡単ではありません。
開発にあたって特に苦労したのは、データ量が増えてもパフォーマンスを維持することだったといいます。比較対象となるデータが多くなればなるほど、取り込み後の照合処理や関連付けには時間がかかります。しかも、遅いだけでなく、正確であることも求められるため、単純に機能をつくればよいという話ではありません。
大量のデータを扱っても、できるだけ早く、かつ正確に関連付けられるようにすること。その両立を意識しながら開発が進められてきた点は、実運用を見据えた機能づくりならではの苦労と言えます。

今後のテーマは、さらに“使いやすく”、さらに“賢く”

今後の展望として挙げられているのは、大きく二つあります。
ひとつは、ユーザーがより簡単にデータ取り込みや設定を行えるようにすることです。現在は設定情報をCSVで取り込む形になっている部分もあり、これをWeb画面上で完結できるように改善していく予定だといいます。もしこれが実現すれば、設定作業の属人化を防ぎやすくなり、担当者間の引き継ぎもしやすくなるはずです。

もうひとつは、完全一致しないデータに対しても、関連候補を提示できるようにすることです。現状では、ルールに引っかからなかった情報については、利用者が手動で紐付けを行う必要があります。今後、近しい候補を自動的にピックアップできるようになれば、データ統合の作業はさらに効率化されるでしょう。
この二つに共通しているのは、「より多くの企業が、より現実的にデータ統合へ踏み出せるようにする」という方向性です。高度な機能である一方、使いやすくなければ定着しない。J-MDMのクロスリファレンス機能は、そうした実務目線の改善を続けながら進化しようとしています。


データ統合を、理想論ではなく“実行できる形”へ

データ統合というテーマは、企業にとって重要である一方、どうしても大きな構想や理想論として語られがちです。しかし現場では、既存システムの制約や組織ごとの事情、運用負荷といった現実が立ちはだかります。
J-MDMのクロスリファレンス機能が示しているのは、そうした現実を無視しないアプローチです。

すべてを一度に変えなくてもいい。まずは分散したデータをつなぎ、全体を見えるようにし、活用できる状態をつくる。そこから段階的に、より理想的な統合のかたちへ近づいていく。その考え方は、複数システムやグループ会社を抱える多くの企業にとって、実践しやすいデータ統合の進め方ではないでしょうか。
マスターデータ管理を強化したいが、何から始めるべきか迷っている。そんな企業にとって、J-MDMのクロスリファレンス機能は、現実に即した有力な選択肢のひとつになりそうです。



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