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ホーム > データ利活用ブログ(あなたのビジネスに最適なデータ戦略を) > 連載企画 第8回 J-MDM導入で重要なテストと保守とは?

2026年08月11日

連載企画 第8回
J-MDM導入で重要なテストと保守とは?

J-MDMは、ビジネスの基盤となるマスターデータ管理ソリューションとして、多くの企業で活用されている純国産MDMパッケージです。
社会の変化や事業環境の変動が加速する今、企業には柔軟かつ迅速に対応できるマスター基盤の構築が求められています。業界・業種を問わずさまざまな導入実績を持つJ-MDMですが、その価値を十分に発揮するには、導入時の設計だけでなく、テスト・移行・保守運用まで見据えたプロジェクト推進が欠かせません。

第8回となる今回は、SIにおいて見逃せない「テスト」と「保守」にフォーカスします。データの統合・整備を進めるうえで何が重要なのか、どのような点に注意すべきなのかを、株式会社JSOLの前田洋氏が解説します。


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    著者情報

    前田 洋

    株式会社JSOL D&T本 データアナリティクス第一部 第二課 課長

MDMは「マスタ入力ツール」ではなく全社資産を支える基幹システム

MDM導入におけるテストや保守を考える前に、まず押さえるべきなのは、MDMをどう位置付けるかという考え方です。
MDMを単なる「マスタの入力ツール」と捉えてしまうと、プロジェクトの途中で期待値のズレが起きやすくなります。なぜなら、入力画面を作ること自体が目的化し、本来目指すべき全社最適なデータ管理の視点が抜け落ちてしまうからです。
本来、MDMは「全社の資産としてマスターを管理する基幹システムの一部」として捉えるべきものです。この認識をお客様と最初にしっかり共有しておくことで、データ統合や整備の方向性をそろえやすくなります。
また、全社資産としてマスターを管理するのであれば、単に各部門・各システムに分散しているマスターを寄せ集めるのでは不十分です。重要なのは、全社で共通化すべきマスターを見極め、全体最適を図ることです。
もちろん、全社にまたがるシステムへ手を入れるにはコストもかかります。そのため、すべてを一度に理想形へ持っていくのではなく、コストとのバランスを見ながら、妥協すべき部分は見極めつつ、最低限守るべきポイントを優先して進める姿勢が大切です。

マスターデータ管理の不備はビジネス活動への影響が大きい

MDMプロジェクトでは、要件定義から設計、開発までは順調でも、データ移行の段階で問題が顕在化するケースが少なくありません。
たとえば、桁数が合っていない、不要なノイズを含む値が存在する、設計時に想定していなかったデータパターンが出てくるといった問題です。こうしたズレが発生すると、単なる微修正では済まず、場合によってはMDMの設計そのものを見直す必要が出てきます。
このような手戻りを防ぐには、早い段階から実データとMDM設計に相違がないかを確認することが欠かせません。情報システム部門だけで画面レイアウトや管理項目を決めたり、単独の業務部門だけで確認を進めたりすると、後工程で現場とのギャップが表面化しやすくなります。
特に重要なのは、情報システム担当者と実運用担当者の双方で認識をすり合わせることです。加えて、日常的にマスターデータを扱っている業務部門も早い段階から巻き込み、現実の運用に沿った設計にしていく必要があります。



MDM導入では現場の負担増も見据えた設計が必要

MDMの導入は、データ統合や業務効率化につながる一方で、現場の運用負荷に影響を与える場合もあります。
たとえば、従来はExcelで担当者が自由に入力できていたマスター登録が、MDM導入後は専用画面で入力し、入力チェックや承認フローを経て登録しなければならない運用に変わることがあります。この変化によって、現場からは「以前より手間が増えた」「使いにくい」といった声が上がる可能性があります。
だからこそ、MDMを何のために導入するのか、その目的を全社で共有しておくことが重要です。単にシステムを置き換えるのではなく、サイロ化したデータを統合し、全社の情報資産として一元管理するための取り組みであることを理解してもらう必要があります。
また、マスターデータを全社最適化するには、「欲しいデータがどこにあるのか」という視点も重要です。もし、必要な情報を得るために各部門に散らばるデータを毎回突合しなければならない状態であれば、MDM導入によって大きな改善効果が期待できます。

MDM移行前後で見るべきポイントは「出口」にある

旧来システムから新しいMDM環境へ移行した後、何を重点的に確認すべきか。この点で特に大切なのが、MDMの中だけを見ないことです。
MDMはあくまでマスターデータを管理・統合する基盤であり、実際のビジネス活動では、そのデータが生産管理や販売管理、受発注などの各業務システムへ連携され、利用されます。つまり、本当に見るべきなのは、マスターデータの「出口」です。
MDM上で正しく見えていても、連携先のシステムで想定通りに使えなければ意味がありません。問題が起きやすいのは、マスター登録そのものよりも、その後の受発注や業務処理の場面です。




移行後に確認したいポイント

• 各システムにどのデータが連携されているか
• 連携先で期待した形式・内容で出力されているか
• 必須項目漏れや設計ミスがないか
• 業務処理に支障をきたすデータ不備がないか

特に、取引先マスタや製品マスタのような重要データに誤りがあると、日々の業務だけでなく、経営判断や機会損失にも影響しかねません。MDM移行前後では、「どのデータが、どの形で、どこへ渡るのか」を意識して確認することが不可欠です。

対象マスターの選定で重要な2つの判断基準

MDMは全社最適のための仕組みですが、すべてのマスターを無条件に統合すればよいわけではありません。コストや周辺システムとの関係も踏まえながら、どのマスターを優先して統合するべきかを見極める必要があります。
その判断基準として、特に重要なのが次の2つです。

1. マスターの利用頻度

まず見るべきは、そのマスターがどの程度使われ、どの程度更新されるかです。
複数部門の担当者が頻繁に更新するマスターであれば、MDMで統合管理する価値は高いといえます。一方で、月に数回、特定担当者だけが更新する程度のマスターであれば、MDMで統合しても費用対効果が見合わない可能性があります。
その場合は、すべてをMDMへ集約するのではなく、既存の仕組みを改善する、あるいは下位マスターとして別管理するなどの選択肢も検討すべきです。

2. マスターデータの運用方針

もう一つ重要なのが、そのマスターを将来どのように運用していくかという視点です。
たとえば、これまで10項目で管理していたマスターを、事業変化に伴って20項目へ拡張したいケースもあります。こうした要望の背景には、販売部門や生産部門の業務変化があることが多く、単純に項目を増やせば済む問題ではありません。
ここで重要なのは、既存データをどう扱うかです。すでに登録済みのマスターをどう補完するのか、洗い替えを行うのか、連携先システムにどのような影響が出るのかを確認しながら進める必要があります。
運用方針を曖昧にしたまま変更すると、連携先で正しいデータとして扱えず、かえって混乱を招くおそれがあります。変更時こそ、お客様と丁寧に認識を合わせながら進めることが求められます。



テストと保守で欠かせないのは名寄せとデータクレンジング

MDMで取り扱うマスターを選定し、データ統合や標準化を進めるうえで避けて通れないのが、名寄せとデータクレンジングです。
その際に大切なのは、単に表面的なデータ整形を行うことではありません。どの部署がどのマスターを管理しているのか、そのテーブルにはどのようなエンティティや属性、項目があるのかを丁寧に把握する必要があります。
要件定義書に書かれているデータだけで判断するのではなく、実際の運用データとできる限り照らし合わせることが重要です。お客様自身も把握しきれていないデータが潜んでいることもあるため、実データベースの確認なしに真の課題は見えてきません。
この点を端的に表すのが、「As is」に出てこないものは「To Be」にも出てこない」という考え方です。現状把握が不十分なまま理想像を描いても、現実的な設計や運用にはつながりません。
だからこそ、ベンダー側だけの視点ではなく、お客様全体を俯瞰しながら、「どこをメンテナンスすべきか」「どこに根本原因があるのか」を見極めることが重要になります。



MDMプロジェクトを前に進めるために必要な姿勢

実際のMDMプロジェクトでは、当初の想定通りに進まないことも少なくありません。データの不整合、業務部門との認識差、周辺システムへの影響など、突発的な課題が次々と発生することがあります。
そうしたときに重要なのは、表面的な対症療法ではなく、根本原因を見極めることです。もし当初のプランで進めるのが難しいと判断した場合には、スケジュールやコストを調整しながら、現実的な進め方へ柔軟に切り替える必要があります。
突発的な問題をいかに収束させ、プロジェクトを止めずに前へ進められるか。そのために、最大限できる手段を尽くす姿勢こそ、MDMのテスト・保守・運用で求められる実務力だといえるでしょう。




J-MDM導入・運用で押さえたいポイントまとめ

J-MDMを活用したMDM導入や移行、保守運用を成功させるには、単にマスタ登録機能を整えるだけでは不十分です。重要なのは、MDMを全社資産を支える基幹システムとして位置づけ、実データや現場運用、連携先システムまで含めて全体最適で考えることです。

• MDMを「入力ツール」ではなく「全社共通の基幹基盤」として捉える
• 情報システム部門だけでなく業務部門も早期から巻き込む
• 実データと設計内容を早い段階で照合する
• 移行前後はMDM内部ではなく連携先を含めた「出口」を確認する
• 統合対象マスターは利用頻度と運用方針で優先順位を決める
• 名寄せやデータクレンジングを丁寧に実施する
• 想定外の問題には根本原因を見極めて柔軟に対応する

まとめ

J-MDMの導入・移行・保守で重要なのは、システムを作ることそのものではなく、正しいマスターデータを全社で活用し続けられる状態をつくることです。
そのためには、初期段階での認識合わせ、実データに基づくテスト、移行後の出口確認、そして運用を見据えた保守方針が欠かせません。マスターデータの不備は日々のビジネス活動に大きな影響を与えるからこそ、テストと保守は「最後の工程」ではなく、MDM導入の成功を左右する重要なテーマとして捉える必要があります。
J-MDMを活用して全社最適なデータ基盤を築くためにも、テストと保守の設計を含めたMDMプロジェクト全体を、戦略的に進めていくことが大切です。


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