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ホーム > データ利活用ブログ(あなたのビジネスに最適なデータ戦略を) > 連載企画 第9回 J-MDM導入事例|マスターデータ統合で 実現するデータガバナンス推進のポイント

2026年08月12日

連載企画 第9回
J-MDM導入事例|マスターデータ統合で
実現するデータガバナンス推進のポイント

J-MDMは、ビジネスの基盤となるマスターデータ管理パッケージとして、多くの企業で活用されている純国産MDMパッケージです。
社会や事業環境が刻々と変化するなか、企業には柔軟かつ迅速に対応できるマスター基盤の構築が求められています。
業界・業種を問わず、さまざまな導入実績を持つJ-MDM。

第9回では、各組織に分散したマスタ情報をMDMへ有機的に統合し、データガバナンスを推進するためのポイントに焦点を当てます。実際の導入事例を交えながら、マスターデータ管理を成功に導く考え方や進め方を、株式会社JSOLの前田洋氏が解説します。

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    著者情報

    前田 洋

    株式会社JSOL D&T本 データアナリティクス第一部 第二課 課長

MDM導入成功の第一歩は「目的設定」と「現状把握」

マスターデータ管理を進めるうえで、業界や業種ごとに特徴的なマスターはあるものの、重要となる基本的な考え方は大きく変わりません。まず必要なのは、MDM導入によって何を実現したいのかを明確にすることです。

• 組織全体で一貫性のあるデータを活用し、ビジネスを拡大したい
• 適切なマスター管理を通じて、データガバナンスを向上させたい
• 全体最適の視点から、データ駆動型経営を実現したい

このように、目指すべき姿は企業ごとに異なります。だからこそ、「何のためにマスターデータ管理を行うのか」「どうすれば期待する効果を得られるのか」を最初に整理しておくことが重要です。

同時に欠かせないのが、自社におけるデータ管理の現状把握です。全社に蓄積されているデータがどこにあり、誰が管理し、どのような構造で収集・更新されているのかを明らかにする必要があります。データ構造や更新頻度、運用体制を可視化しておくことは、後の要件定義や設計、開発の精度を大きく左右します。

MDM導入で失敗しないために重要なのは「欲しいデータの所在」を知ること

MDM導入で失敗しないためには、企業の中にある共通課題を正しく捉える必要があります。その一つが、欲しいデータが一箇所にまとまっていないという問題です。

たとえば、営業担当者が必要なデータを見たいと思っても、社内には類似したシステムが複数存在し、どこに必要な情報があるのか分からない、あるいは誰に確認すればよいか分からないという状況は珍しくありません。
特に、営業と生産の情報が分断されているケースでは、「販売に必要な情報」と「製造に必要な情報」が結びついておらず、全体最適なデータ活用が難しくなります。
こうした状態のままでは、企業が資産としてデータを蓄積していても、実際の意思決定や業務改善に十分活かせません。
だからこそ、マスターデータ管理において最も意識すべきなのは、社内のどこに、どのようなデータがあるのかを把握することです。データの所在と管理者、利用部門を整理することが、統合設計の出発点になります。


MDMで優先的に統合すべきなのは「商品マスタ」と「得意先マスタ」

MDMで統合対象を検討する際、多くの企業で候補に挙がるのが、商品(品目)マスタと得意先(取引先)マスタです。
マスターデータは大きく分けると、モノ系である商品マスタと、ヒト系である顧客・取引先マスタに分類できます。特に商品マスタには、金額、サイズ、色、工場の生産地など、多数の属性が紐づいており、管理対象となる項目は数百種類に及ぶこともあります。
ただし、それらすべてをMDMで一括管理しようとすると、開発コストだけでなく、現場での入力・運用コストも大きく膨らんでしまいます。そのため重要なのは、すべてを統合することではなく、何を優先的に統合するかを見極めることです。
その切り口の一つが、サイロ化したデータの主管部門や責任者を明確にし、さらに項目ごとの更新頻度を確認することです。人の手で頻繁に更新される項目を含むマスターは優先的にMDMへ取り込み、そうでないものは後回しにする。このような優先順位付けが、無理のない導入につながります。

組織マスターをMDMで管理する2つの手法

人事情報などの組織マスターをMDMで管理・運用する場合、大きく分けて2つの考え方があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、事前に理解しておくことが重要です。

1. 組織単位で権限を設定する方法

一つ目は、部や課といった実組織単位でMDMの運用権限を設定する方法です。
この方法では、各部門がもともと管理しているシステムと、MDMで統合するマスターデータの対応関係が分かりやすくなるため、導入後の業務設計がしやすいというメリットがあります。
一方で、実際の組織構造に強く依存するため、組織変更や担当者変更が発生するたびに、権限設定や属性単位のコントロールを見直す必要があり、改修コストがかさみやすい点が課題です。

2. 役割ベースでデータを仮想化する方法

二つ目は、既存の組織やシステム構造から切り離し、MDM上でデータ仮想化を行い、役割ベースで権限を付与する方法です。
このやり方では、「部」や「課」ではなく、「営業」「生産」といった役割に応じて権限を持たせることができます。組織改編の影響を受けにくく、運用を柔軟に設計しやすい点がメリットです。
どちらの方法が適しているかは、既存システムとの関係や、組織変更の頻度、業務ルールの考え方によって異なります。重要なのは、自社の運用に合った設計方針を選ぶことです。


MDMで期待した効果を得るには「グランドデザイン」が欠かせない

MDM導入で想定通りの効果を得るためには、目的設定と現状把握に加えて、統合対象の優先順位付けとグランドデザインの作成が重要になります。
ここでいうグランドデザインとは、社内全体のデータの流れを一枚の図として可視化したものです。どのシステムからどのデータが発生し、どこへ流れ、どこで活用されているのかを整理することで、全体最適の視点からマスター統合を考えやすくなります。
実際には、情報システム部門であっても、自社全体のデータフローやデータガバナンスの実態を十分に把握しきれていないケースは少なくありません。そのため、まずは自社のデータの流れを知る工程自体が、MDM導入において非常に重要な意味を持ちます。

グランドデザイン作成で意識したいポイント

グランドデザインを描く際に大切なのは、MECE(漏れなく・重複なく)を意識することです。
もし既存システムからMDMを通じて新しい仕組みへ移行する段階で、当初の設計図に入っていなかった部門や業務が後から見つかると、設計そのものを見直さなければならなくなる可能性があります。
つまり、グランドデザインは単なる資料ではなく、関係者の認識をそろえるための土台でもあります。


建設業の導入事例に学ぶ、マスターデータ管理の実践ポイント

実際の導入事例として、清水建設株式会社のケースでは、デジタル化とデータガバナンス推進に向けて、取引先情報をリアルタイムに管理できる仕組みへのニーズがありました。
従来は、営業担当者が日々の業務の中で取得した情報をもとに、手作業でマスターデータをメンテナンスしていました。しかし、この方法では修正コストが大きく、また情報の鮮度を保つことが難しいという課題がありました。
そこで、企業情報を提供する外部データベースと連携するAPIを開発し、社内のマスターデータと外部企業情報をつなぐ仕組みを構築しました。これにより、データの不整合や入力ミスの防止に役立ち、さらにマスターデータのクレンジング機能によって取引先情報の自動更新も可能になりました。
その結果、担当者による修正作業の負担を大幅に削減しながら、より精度の高いマスターデータ運用を実現できるようになったのです。


外部データ活用はMDMの価値をさらに高める

近年は、外部データベースを活用しながら、自社に必要なマスターを拡張したいというニーズも高まっています。特に、社名変更や統廃合といった取引先情報の変化をリアルタイムに反映したい企業にとって、外部データとの連携は非常に有効です。
MDMは社内データを整備・統合するための仕組みですが、そこに外部の信頼できるデータソースを掛け合わせることで、データの鮮度や整合性をさらに高められます。結果として、単なる一元管理にとどまらず、データガバナンスの実効性を高める基盤として機能しやすくなります。


J-MDM導入で押さえたいポイントまとめ

J-MDMを活用してマスターデータ統合やデータガバナンス推進を進めるうえでは、単にマスターを集約するだけでは不十分です。重要なのは、目的、現状、優先順位、設計方針を整理しながら、全体最適の視点で導入を進めることです。

• MDM導入の目的と期待効果を最初に明確化する
• 社内のどこにどのデータがあるのか、現状の管理体制を把握する
• 商品マスタと得意先マスタを中心に、統合対象の優先順位を決める
• 更新頻度や責任部門を基準に、MDMへ載せるべき項目を見極める
• 組織単位か役割単位か、運用に合った権限設計を選ぶ
• グランドデザインを作成し、全社のデータフローを可視化する
• 必要に応じて外部データベースも活用し、データの鮮度と精度を高める

まとめ

J-MDMによるマスターデータ管理を成功させるためには、システム導入そのものよりも、何のために統合するのか、どこから着手するのか、どのように運用していくのかを明確にすることが重要です。
特に、導入目的の整理、自社のデータ運用体制の把握、統合対象マスターの優先順位付け、グランドデザインによる全体像の可視化は、プロジェクト成功の鍵になります。
また、実際の導入事例からも分かるように、外部データベースとの連携や自動クレンジングの活用は、データガバナンス推進の有効な手段です。J-MDMを通じて全社最適なマスター基盤を整備し、変化に強いデータ活用体制を築いていくことが、これからの企業経営においてますます重要になっていくでしょう。



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