2025年03月03日
DX推進ガイドラインとは?
11の項目やデジタルガバナンス・コードに
ついても解説
近年、DXの必要性を理解し実行しようと動き出す企業が増えています。
一方で、「DXの必要性は感じるが、どのように取り組めばよいのかわからない」と頭を抱えている方もいるでしょう。
この記事では、DXを推進する立場の方が知っておくべき「DX推進ガイドライン」について紹介します。
「デジタルガバナンス・コード」の内容も解説していますので、参考にしてください。
DX推進ガイドラインとは?
「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」、通称「DX推進ガイドライン」は、2018年に経済産業省がDX推進のために発表したガイドラインです。
「DX推進ガイドライン」は主に以下の2つの要素で構成され、日本企業がDXを進めていく際の指針が示されています。
・DX推進のための経営のあり方、仕組み
・DXを実現するうえで基盤となるITシステムの構築
この「DX推進ガイドライン」には、DXを実現するためにおさえるべき重要なポイントがまとめられているだけでなく、「失敗ケース」や「先行事例」などが示されているという特徴もあります。
事前にこのような具体的な事例に目を通しておくと、自社のDXを考えるうえで参考になるでしょう。
「DX推進ガイドライン」は、自社の現状を評価したい時や、DX推進の体制・戦略を検討する時などに役立ちます。
DXを推進する際は、この「DX推進ガイドライン」の内容をよく理解し、それぞれのチェック項目を確認しながら進めていくと良いでしょう。
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DX推進ガイドラインはデジタルガバナンス・コードと統合
「DX推進ガイドライン」に続き、デジタル化で変革する社会における経営者の対応をまとめた資料として、2020年に策定されたのが「デジタルガバナンス・コード」です。
この「DX推進ガイドライン」と「デジタルガバナンス・コード」は、利用者視点から統合が望ましいとされ、有識者による検討会を経て統合されることになりました。
そして、2022年に統合・改訂され、取りまとめられたのが「デジタルガバナンス・コード2.0」です。
「デジタルガバナンス・コード2.0」には、多くの企業が抱える課題を踏まえ、前提となる考え方やめざす方向性、取り組み例などが掲載されています。
業種や規模に関係なく、幅広い企業に向けた内容であるため、あらゆる企業の経営者・DX担当者が目を通しておくべき資料といえるでしょう。
デジタルガバナンス・コード2.0|経済産業省
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そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは
経済産業省によると、DXは以下のように定義されています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
引用元:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver.1.0|経済産業省
つまり、DXはデジタル技術を導入することのみをさすのではなく、データやデジタル技術の活用によってもたらされるさまざま変革のことを意味しています。
経済産業省はDXを推進するため、複数の施策を展開しています。
施策については「産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)」に掲載されていますので、あわせてご確認ください。
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DX推進ガイドラインが作成された背景
日本企業の多くがDXの必要性・重要性を認識し、実際にDXを進めようとしています。
その一方で、既存のITシステムの問題に頭を悩ませている企業も少なくありません。
というのも、多くの企業が使用しているITシステムは、老朽化・複雑化などさまざまな問題を抱えている状態です。
この問題を解決するには、ITシステムを新たに構築する必要があります。
このような背景から、DX推進ガイドラインには「DXを実現するうえで基盤となるITシステムの構築」について明示されることになりました。
また、中にはITツールやシステムを導入しデジタル化を実行したものの、ビジネスモデルや組織そのものの変革にまでつながっていないケースもみられます。
業務のデジタル化を組織の変革につなげるためには、デジタル技術をいかにビジネスの変革につなげるのかという経営戦略が重要です。
それに加え、経営者によるコミットメントや実行する際のマインドセットなども欠かせません。
このような背景からDX推進ガイドラインには「DX推進のための経営のあり方、仕組み」についても明示されています。
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DX推進ガイドラインの11項目
DX推進ガイドラインは、「DX推進のための経営のあり方、仕組み」に関する5項目と、「DXを実現するうえで基盤となるITシステムの構築」に関する6項目の11項目に細分化されています。
ひとつずつ見ていきましょう。
DX推進のための経営のあり方、仕組み
「DX推進のための経営のあり方、仕組み」には5つのチェック項目が示されています。具体的な内容とともに紹介します。
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 経営戦略・ビジョン の提示
|
・どの事業分野で、どのようなビジネスモデルで、 どのような新たな価値を生み出すのか |
| 経営トップの コミットメント
|
・経営トップがDXに対し強くコミットしているか |
| DX推進のための 体制整備
|
・マインドセット:新しく挑戦できる環境、挑戦を継続できる環境があるか ・サポート体制:DXに必要な仕組みが整っているか ・人材:DXに必要な人材を確保できているか |
| 投資等の意思決定の あり方ト
|
・ビジネスに与えるプラスの影響、および投資を しないことによるリスクを考慮しているか ・挑戦を躊躇させる判断をしていないか |
| DXにより実現すべき もの:スピーディー な変化への対応力 |
・DXによって変革されるビジネスモデルが、経営方針の転換やグローバル展開に すばやく対応できるものであるか |
DXを実現するうえで基盤となるITシステムの構築
「DXを実現するうえで基盤となるITシステムの構築」のチェック項目は、大きく「体制・仕組み」と「実行プロセス」の2つにわけられ、さらにそれらが細かく分類されています。
【体制・仕組み】
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 全社的なITシステム の構築のための体制
|
・各部門・組織の両方で、デジタル技術を活用できる基盤が整っているか ・ITシステムの設計ができる仕組み・人材が確保できているか |
| 全社的なITシステム の構築に向けたガバ ナンス |
・既存システムを把握したうえで、ガバナンスを打ち立てているか ・企業自らがITシステム構築の企画・要件定義をしているか |
| 事業部門のオーナー シップと要件定義能 力 |
・各部門がオーナーシップをもってDXに取り組んでいるか ・ベンダー企業に丸投げしていないか |
【実行プロセス】
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| IT資産の分析・評価 | ・組織内のサーバーや既存システム、ソフトウェアなどの現状を評価できているか |
| IT資産の仕分けと プランニング |
・社内で横断的にデータを活用できるよう、システム間で連携がはかれているか ・不要になったIT資産を廃棄できているか |
| 刷新後のITシステム :変化への追従力 |
・新たなデジタル技術が導入されているか ・全社的に最適なシステム構成になっているか |
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デジタルガバナンス・コードの構成内容
デジタルガバナンス・コードの内容についても確認しておきましょう。
デジタルガバナンス・コードは以下の4つから構成されています。
・ビジョン・ビジネスモデル
・戦略
・成果と重要な成果指標
・ガバナンスシステム
それぞれ紹介します。
ビジョン・ビジネスモデル
デジタルガバナンス・コードには「ビジョン・ビジネスモデル」に関する内容が盛り込まれています。
柱となっているのは、以下の3つの要素が重要であるという考え方です。
1.ビジネスとITシステムを一体的にとらえ、デジタル技術による変化を踏まえて経営ビジョンを策定すること
2.経営ビジョン実現のために、ビジネスモデルを設計すること
3.経営ビジョンやビジネスモデルの方向性をステークホルダーに公表すること
なお、デジタルガバナンス・コードではいずれの要素においても、ステークホルダーとの積極的な対話が経営者の重要な役割であると位置づけています。
ここでいうステークホルダーとは、顧客や投資家、人材など、新たな価値を生み出すパートナーのことです。
戦略
デジタルガバナンス・コードでは、「戦略」について以下の2つの要素が重要だと考えています。
1.自社がめざすビジネスモデルを実現するためのデジタル戦略を策定すること
2.ステークホルダーにそのデジタル戦略を公表すること
具体的には、以下のような状態を推奨しています。
・DX推進のための具体的な戦略が明らかになっている
・既存ビジネスの変革に向けて、データとデジタル技術を活用した取り組みが実施されている
・新規ビジネスの創出に向けて、データやデジタル技術を活用した取り組みが実施されている
成果と重要な成果指標
デジタルガバナンス・コードでは、「成果と重要な成果指標」について以下の2つの要素を推奨しています。
1.戦略の達成度を示す指標を定めること
2.ステークホルダーに成果の自己評価を公表すること
具体的には、以下のような状態が望ましいとしています。
・戦略の達成度がKPIで評価されており、KPIに目標値が設定されている
・すべての取り組みにKPIを設定し、KGI(最終財務成果指標)へ帰着させている
・KPIについてステークホルダーに公表している
ガバナンスシステム
デジタルガバナンス・コードでは、「ガバナンスシステム」について以下の3つの要素を重要視しています。
・ビジョンやデジタル戦略についてメッセージを出すなど、経営者がリーダーシップを発揮すること
・経営者がITシステムの課題を把握・分析し、戦略の見直しに活かすこと
・サイバーセキュリティ対策を適切に行うこと
具体的には、以下のような状態が推奨されています。
・経営者が自らの言葉でステークホルダーに、ビジョンの実現について発信している
・経営者がDX推進部門の責任者と積極的にコミュニケーションをとっている
・経営者がサイバーセキュリティリスクを正しく認識し、対策のためのリソースを確保している
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DX推進ガイドラインの活用方法
DX推進ガイドラインの内容については、ここまで紹介してきた通りですが、ガイドラインは実際に活用できなければ意味がありません。
ここからは、DX推進のステップを紹介しながら、DX推進ガイドラインの活用方法を説明していきます。
現状を把握する
DXを推進する際は、まず自社の現状を把握することから始めます。
DXの目的を明確するとともに、DX推進ガイドラインを参考にIT資産の分析・評価も行い、現状を正しく把握しましょう。
DXの実現には、最初の現状把握が非常に重要です。
技術やノウハウ、人材などの自社の資源も把握し、整理しておきましょう。
課題・対策を明確化する
現状を把握できたら、課題・対策を明確化します。
自社のDXの目的を達成するために解決すべき課題を組織全体で共有し、具体的な対策を検討しましょう。
この段階で新しいITシステムの導入も検討することになるため、DX推進ガイドラインを参考に導入計画を立てると良いでしょう。
DXの目的によって導入すべきITシステムは異なります。自社に合うシステムを慎重に選ぶようにしてください。
優先順位を付ける
対策が明確になって方向性が決まったら、DX推進の対象となりうる業務を一覧化し、どのアクションから進めるのか、優先順位を付けましょう。
影響度が大きく、早く対応しなければならないものは、優先度が高くなります。
DXは大規模な変革になることが多いため、一気にすべての課題に取り組むことはできません。
優先度の高いアクションから進めていく必要があります。
実行する
優先順位を整理したら、優先順位の高いアクションから実行に移します。
DX推進ガイドラインのポイントを参考に、進捗を確認しながらDXを進めていきましょう。
とくに実践的な内容が多く含まれる「DX推進のための経営のあり方、仕組み」の中の項目は、しっかり確認しておくようにしましょう。
PDCAサイクルを回し改善する
DXは一度の取り組みで完結するというものではありません。
DXを成功させるためには、PDCAサイクルを回し、改善していくことが重要です。
DXに活用されるデジタル技術は日々進化し、企業を取り巻く状況も常に変化しています。
一連のプロセスが終わっても、最新のデータを用いて、効果検証と改善を繰り返していく必要があります。
継続的にPDCAサイクル回し、DXの精度を向上させていきましょう。
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DXを推進するうえでのポイント
DXを推進する際には、ポイントをおさえて行うことが大切です。
ここでは、以下の3つのポイントを紹介します。
・経営レベルの意識改革を行う
・IT予算・IT人材の確保
・DX推進体制の構築
順番にくわしく見ていきましょう。
経営レベルの意識改革を行う
DXの推進には「経営レベルの意識改革を行う」ことが不可欠です。
決定権をもつ経営層からの理解が得られなければ、DXに必要な投資も難しくなるからです。
また、現場の社員がDXを推進しようとしても、部署ごとの取り組みで終わってしまったのでは、社内全体としてのDX推進にはつながりません。
経営層が業務を変革するという意識をもって、全社的に取り組みを進める必要があります。
経営戦略を明確にし、積極的に改革提案を行うなど、経営層がDX推進を主導するのが望ましいでしょう。
IT予算・IT人材の確保
DXを推進するうえでは「IT予算・IT人材の確保」も重要です。
DX推進には新システムの導入などが行われますが、日本企業では、多くのIT関連費用が現行システムの維持管理に使われているという現状があります。
戦略的なIT投資のためにも、IT予算を確保するようにしましょう。
また、DXに精通したIT人材の確保も欠かせません。
DXに関する知識があることはもちろん、企業全体をDXの観点から俯瞰でき、リーダーとなれるような人材が求められます。
今後はIT人材不足も懸念されていることから、採用だけでなくIT人材の育成や離職率を下げるための働き方改革などの取り組みにも力を入れていかなければなりません。
DX推進体制の構築
DXを推進する際は「DX推進体制の構築」も必要になります。
通常の業務と並行してDXを推進するのは難しいため、適切な人材を配置し、DXの専門部署を設置することも検討しましょう。
専門部署を社内に設置すれば、DXを進めるのに必要な人材や資金なども集中的に確保しやすくなるでしょう。
DXは長期のプロジェクトになることが多いため、途中で組織体制の変更が必要となるケースもあるかもしれません。
そのため、それらの変化に柔軟に対応できる組織であることも求められます。
なお、DX推進ガイドラインでは、DX推進体制の整備の重要なポイントとして「マインドセット」「推進・サポート体制」「人材」という3つが挙げられています。
体制構築の際はそちらも参考にしてみてください。
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DX推進ガイドラインとあわせてチェックしたい!
DXレポートとは
「DXレポート」とは、DX推進ガイドラインとともに、DX推進の施策として発表されている報告書のことです。日本における企業のDXを分析し、見えてきた課題が詳細にまとめられています。
2018年から発表されており、2024年7月時点で以下の4つのDXレポートが公表されています。
DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~|経済産業省
DXレポート2(中間取りまとめ)|経済産業省
DXレポート2.2(概要)|経済産業省
経営者やDX担当者は、DX推進ガイドラインに加え、DXレポートにも目を通しておきましょう。
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まとめ
DX推進ガイドラインは、企業がDXを進める際に役立つ資料です。
経営者・DX担当者として知っておくべき内容がまとめられていますので、しっかりと確認しておくことをおすすめします。
DXを進めるための仕組みやマインドセットを理解できたとしても、実際にDXを進めるとなると迷ってしまうこともあるでしょう。
そのような場合は、自社に合うDX支援ツールを検討してみるのもひとつの方法です。
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ぜひご検討ください。
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