2024年04月05日
物流DXとは?2024年問題解消に向けて
業界の課題や解決策・事例を紹介
現代において、ビジネスを成功させるためには、デジタル技術を活用し、競争優位性を確立することが求められています。
このため、DX推進がますます重要視されており、物流業界においても迅速なDX推進が必要です。
当記事では2024年問題解消に向けて物流業界の課題や解決策、DX推進に向けた取り組み事例について詳しくご紹介します。
物流DXとは
物流DXは、物流の主要な機能である「配送・輸送」「保管」「荷役」「流通加工」などの各工程に、AIやIoTなどの先端デジタル技術を導入することで、業務効率の飛躍的な向上や、これまでにない革新的なサービス、ビジネスモデルの創出を目指す取り組みです。
具体例として、AIを活用した倉庫管理システムの導入が挙げられます。このシステムは、過去のデータや市場動向を分析し、倉庫の利用状況を高精度で予測します。これにより、在庫の最適化や配送ルートの効率化が可能となり、競合他社よりも迅速かつ柔軟な配送サービスの実現につながるのです。
国土交通省の「2020年代の総合物流施策大綱に関する検討会」資料において、物流DXは次のように述べられています。
「機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革すること。」
物流DXを推進することにより、他の産業に対する物流の優位性を高めるだけでなく、国内産業の国際競争力の向上につながるのです。
全⽇本トラック協会 ⻘年部会「「DXとは何か」を理解する」
国土交通省「物流DXの推進」
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そもそもDXとは?
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、社会や生活の様式や形態がより良く変革することを指します。経済産業省の「DX推進ガイドライン」では、DXを以下のように定義しています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
また、産業界におけるDXを推進するため、経済産業省は「デジタルガバナンス・コード」に基づき、多岐にわたる取り組みを実施しています。
経済産業省「DX 推進ガイドライン」
「産業界のデジタルトランスフォーメーションの推進」
DXについては以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?意味や進め方などを解説
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物流業界でDXが注目されている理由・背景
多くの企業が、システムがあってもデータ活用ができず、イレギュラー対応が多いために既存システムが複雑化しているという問題を抱えています。これは物流業界だけでなく、日本の多くの企業が抱える問題です。特に、部署ごとに異なる既存システムがあり、企業全体でデータを活用することが困難な場合が多いのです。これがDXを進めるうえでの主な障害の1つとなっています。
また、物流業界では、サプライチェーンの構造上、一般的に多数の企業が事業に関与しています。そのため、IT推進の主導者が明確でないことも課題なのです。さらに、物流系企業の業務デジタル化には巨額の費用が必要であるため、大企業に限られてしまう状況にあります。しかし、現代社会は大きく変化しており、物流業界でもDX推進が急務となっているのです。
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物流業界が抱える課題
DX推進が遅れると、2025年以降、年間最大12兆円の経済損失が出る可能性があるといわれています。この問題は「2025年の崖」と呼ばれ、物流業界でも懸念されています。
ここでは、物流業界が抱える課題について確認していきましょう。
「2025年の崖」については、以下の記事を参考にしてみてください。
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2025年の崖とは?経産省レポートが提示した課題や克服の方法・ツールを紹介
EC利用急増による小口配送の急増
近年、大手ECサイトの躍進や新型コロナウイルスによるライフスタイルの変化により、EC市場が急速に拡大しています。この成長に伴い、個人宅への小口配送が著しく増加しました。
経済産業省の調査によると、BtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場は着実に成長を遂げています。
引用元:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)
しかし、このBtoC-EC市場拡大に伴う小口配送の急増は、トラックの積載効率の低下や倉庫での在庫管理の複雑化といった新たな課題を物流業界にもたらしているのです。これらの要因が重なり、物流業務全体の効率性が低下する傾向にあります。
今後、EC市場のさらなる成長が予想されるなか、物流業界はこれらの課題にどう対応していくのか、注目が集まっています。
トラック積載効率の低下
小口配送の増加に伴い、荷物が多品種・小ロット化される傾向があり、これがトラックの積載効率低下につながっているのです。国土交通省「2018年度自動車輸送統計」によると、営業用トラックによる積載効率は年々低下しており、2018年には、トラックが積載できる容量の約60%が無駄になっているそうです。
人手不足
物流業界では以前からドライバーの高齢化問題が指摘されていましたが、EC利用の急速な拡大により人手不足がますます深刻化しています。
国土交通省の資料「最近の物流政策について」によると、2020年6月時点で貨物自動車運転手(パート含む)の有効求人倍率は1.92倍でした。これは、全職種平均の0.97倍を大きく上回っており、物流業界における人材確保の難しさが浮き彫りになっています。
引用元:「最近の物流施策について」 トラック運送事業の働き方をめぐる現状
さらに、道路貨物運送業の従業員の年齢構成を見ると、全産業平均と比較して若年層の比率が低く、高齢層の割合が高いという特徴が明らかになっています。具体的には、全産業平均では15~29歳の若年層が16.6%を占めているのに対し、道路貨物運送業ではわずか10.2%でした。一方で、40~54歳の割合は全産業平均の34.8%に対し、道路貨物運送業では44.2%と高い割合になっています。
引用元:「最近の物流施策について」 トラック運送事業の働き方をめぐる現状
このような状況は、運送業界の持続可能性に深刻な影響を及ぼす可能性があり、早急な対策が求められています。
過酷な労働環境
小口配送の増加や深刻化する人材不足により、物流業界では長時間労働が常態化しているのが現状です。
国土交通省の資料「最近の物流施策について」では、トラック運送業の労働時間は全職業平均と比較して約2割長いにもかかわらず、年収は約1~2割低いという実態が明らかになりました。
引用元:「最近の物流施策について」 トラック運送事業の働き方をめぐる現状
さらに、業界全体が直面する問題として、激しい価格競争や燃料費の上昇があります。これらの要因により、企業は従業員の給与を適切に引き上げることができず、結果として物流従事者は厳しい条件下での就労を余儀なくされています。
燃料などのコスト高騰
将来的に、物流業界にとってリスクとなるのは、燃料などのコスト高騰です。原油価格は新型コロナウイルス感染症の影響で下落した時期もありましたが、過去には何度か高騰したことがあります。さらに、物流業界で必要不可欠なトラックやタイヤなどのコストも上がり続けており、これによって物流業界全体でのコスト増加が心配されています。
2024年問題
物流業界において、重要な問題の1つが「2024年問題」です。働き方改革関連法の施行により、物流業界においても2024年4月から自動車運転業務における時間外労働時間に上限規制が適用されています。
このため、今後さらに業務効率化や労働環境改善などの対応策が必要になるでしょう。
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物流DXにより改善できること
次に、物流DXの導入によって改善できることを見ていきましょう。
業務効率化
物流業界におけるDXの導入は、業務プロセスの大幅な効率化をもたらします。例えば、在庫管理システムの導入による一部業務の自動化により、従来は人手に頼っていた作業が大幅に改善可能です。
これにより、データ入力や在庫カウントなどの単純作業にかかる時間が削減され、従業員はより付加価値の高い業務に集中できるようになります。
また、デジタル化されたワークフローにより、情報の共有や意思決定のスピードが向上し、組織全体の生産性が高まります。これは特に大規模な物流センターや複数の拠点をもつ企業にとって大きなメリットとなるでしょう。
コスト削減
DXの活用は、物流業界におけるさまざまなコスト削減にもつながります。
ペーパーレス化は印刷や保管にかかるコストを減らすだけでなく、文書管理の効率化にも貢献します。蓄積された電子データを活用することで、企業の現状分析や経営戦略の立案に役立つ貴重な情報を得ることができ、さまざまな課題解決の手助けとなるでしょう。
また、AIやロボティクスの導入により、労働集約的な作業を自動化することで人件費を抑制できます。さらに、人的ミスの減少により品質が向上し、結果として物流全体のトータルコスト削減に大きく貢献するでしょう。
配送ルートの可視化
DXによる配送ルートの可視化は、物流効率を飛躍的に向上させます。
配送ルートの可視化により、リアルタイムの交通状況やその他の要因を考慮したうえで、効率的な配送計画が可能です。これにより、燃料費の削減、配送時間の短縮、車両の有効活用が実現できます。
さらに、新人ドライバーの教育コスト削減にも役立ちます。スマホやカーナビを使用して効率的な配送ルートが指示されるため、複雑な道順を覚える必要がなくなり、より迅速に実務に適応することが可能です。
交通渋滞や道路工事などの予期せぬ状況に遭遇した際、システムが自動的に最適な代替ルートを提案してくれる機能は、経験の浅いドライバーにとって特に有用だといえるでしょう。
人的ミスの削減
DXの導入により、人的ミスを大幅に減少させることも可能です。
デジタルピッキングシステムを活用すると、デジタルディスプレイを用いた作業支援ができるようになり、従来のピッキング作業における、リストを目視で参照するという行為が不要となります。これにより、作業が機械化され、人的ミスが起こりにくくなるだけでなく、業務の効率化も図れます。
さらに、自動ピッキングロボットの導入により、人的な商品投入ミスを防止することが可能です。デジタルピッキングとの組み合わせにより、人的ミスによる問題の大幅な解消が期待できるでしょう。
実際に、Amazonやユニクロなど多くの企業が物流倉庫のピッキング作業を自動化しています。ただし、システムトラブルが発生すると業務効率が著しく低下するため、システムサポートを含む総合的な運用が求められます。
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物流DXの推進につながる解決策の例
物流DXの推進につながる解決策の例を7つ紹介します。国土交通省の以下の資料も参考にしてみてください。
国土交通省「最近の物流政策について」
RFIDシステム
RFIDとは、電波を使ってRFタグのデータを読み取る技術です。バーコードとは異なり、接触する必要がなく、一度に複数のタグを読み取ることができます。また、梱包された製品からも読み取ることが可能です。
RFIDシステムの導入により、物流拠点の出庫時間や入庫時間、台数などをリアルタイムで把握でき、管理者はパレットごとに位置情報や出庫入庫の状況を確認できます。
TMS
物流センター全体を管理するシステムをWMS、輸配送を管理するシステムをTMSと呼びます。道路交通状況や納期を考慮した最適な配送計画を立てることは非常に重要です。従来、配送計画はスタッフが作成していましたが、TMS導入により適切な積み付け計画やルート計画を自動で立てることが可能になりました。その結果、納期遅延の防止やコスト分析ができるようになったのです。
DPS
デジタルピッキングシステムを略してDPSと呼びます。ピッキングとは、倉庫内で必要な商品を選び出し出荷する作業のことを指します。従来は、ピッキングリストを発行して作業していましたが、デジタルピッキングは、商品保管ラックにデジタル表示器を設置し、必要な商品の場所へ誘導するシステムです。DPSにより、ピッキングリストの読み取りミスを減らし、新人でもスムーズにピッキングができるようになりました。
DAS
DASはデジタルアソートシステムの略で、デジタル表示器に表示された指示に従って商品の仕分け作業を行うシステムです。従来のように紙の仕分けリストを見る必要がなく、リストを読み上げる人員を配置する必要もありません。このように、DASにより作業負担を削減することができるのです。
無人フォークリフト
無人フォークリフトは無人搬送車の一種で、人が運転する必要がなく、コンピュータによって自動的に制御されます。日本では1970年代にはじめて開発され、現在では人手不足を解消するためのツールとして期待されています。さらに、無人フォークリフトとRFID搭載のパレットを併用することで、入荷・検品・トラックへの積み込みまでを自動的に行うことが可能になると、作業現場での大幅な人員削減が実現できるでしょう。
ドローン物流
物流業界ではドライバー不足が深刻化しており、その解決策としてドローンを活用した無人物流が期待されています。
特にECの普及により小口多品種化した物流業界で課題となっているのは、道路渋滞です。そのため、ドローンを活用して空の領域に物流網を広げることで、スムーズな物流の実現が期待されています。
ブロックチェーン
ブロックチェーンは、商取引情報やその他のデータをネットワークに暗号化して同期させ、一連の記録として残すシステムです。IOTを用いて物流を可視化し、ブロックチェーンで収集された情報を活用することで、国際物流の手続きが簡素化され、効率化やコスト削減が実現できると期待されています。
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物流DXの取り組み事例
物流DXの取り組み事例を5つご紹介します。国土交通省の「物流・配送会社のための物流DX導入事例集」にもさまざまな事例が載っていますので参考にしてみてください。
国土交通省「物流・配送会社のための物流DX導入事例集」
ヤマトホールディングス株式会社
ヤマトホールディングス株式会社では、さまざまな受け取り方法に対応したサービス「EAZY」を提供しています。EAZYは対面や玄関ドア前、宅配ボックスなど、さまざまな受け取り方法を選ぶことができ、顧客満足度の向上につながっているのです。また返品率の減少にも貢献しています。
ヤマト運輸「EAZY」
日本航空株式会社×KDDI株式会社
日本航空株式会社とKDDI株式会社は、ドローンの社会インフラ化にむけ、1人の操縦者が複数のドローンを運航する「1対多運航」を実現する技術開発に共同で取り組んでいます。KDDI株式会社が開発している運航管理システムに、日本航空株式会社が持つ航空運送事業のオペレーション・技術・知見を組み合わせることで、ドローンの飛行制御システムの開発を進めています。
KDDI株式会社「KDDIとJAL、ドローンの社会インフラ化に向け、1対多運航の実現を目指す取り組みを開始」
SGホールディングス株式会社
SGホールディングス株式会社でロジスティクス事業を展開する佐川グローバルロジスティクス株式会社は、埼玉県東松山にある佐川流通センターに次世代型ロボットソーターを導入しました。このロボットソーターは、無人搬送車を使って物品を運び、仕分け作業を行います。これにより、人的ミスによる誤発送をなくし、作業にかかる人員を27%削減することができました。
SGホールディングス株式会社「仕分け業務のDXにより、東松山SRCの大幅な生産性向上を実現 ~次世代型ロボットソーター「t-Sort」やRFIDシステムを導入~」
ロジスティード株式会社
ロジスティード株式会社(旧 株式会社日立物流 )はDXを推進しており、2021年には経済産業省の「DX認定取得事業者」に選定されました。
同社は、センサーネットワークやシステムを使って物流現場の多様なデータを収集し、サイバー空間でAIなどの技術によりビッグデータを分析、知識化します。そして、蓄積した情報や価値を現場に投入して現場力を強化し、協創パートナーとのオープンイノベーションを促進し、新しいビジネスモデルの創出につなげているのです。
ロジスティード株式会社「経済産業省の「DX認定取得事業者」に選定」
日本郵船株式会社
日本郵船株式会社は、環境負荷低減と業務改善の双方を実現する自動車専用船の運航スケジュール策定支援システムを開発しました。このシステムは、最適な航行スケジュールを提示するため、迅速な意思決定が可能となり、ノウハウの継承にも貢献します。また、船舶の温室効果ガス排出量が最小になるスケジュール策定も可能で、気候変動へ対応したサービス実現への貢献が期待されています。
日本郵船株式会社「自動車専用船の運航スケジュール策定支援システムを開発」
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まとめ
経営環境の変化や多様な顧客ニーズに対応し、人手不足を解消するためにも、物流業界においてDX推進は必要不可欠です。しかしながら、「既存システムの改善方法がわからない」「デジタルやITの知識を持った人材がいない」といった課題を抱える企業も多いのではないでしょうか。
「J’s X」は、あらゆる業務を標準化し、シンプルにする業界特化型のクラウドプラットフォームです。豊富なDX導入経験を活かし、物流業界のDX推進も支援可能です。「J’s X」であらゆる業務プロセスを楽に、シンプルにしませんか。
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