2024年04月08日
KPI(重要業績評価指標)とは?
KGIとの違いや設定の方法を紹介
企業の成長には、適切な目標の設定と、目標達成に向けたプロセスの共有が欠かせません。その目標達成に向けてのプロセスを明確にするのが、「KPI(重要業績評価指標)」です。
目標達成においてKPIの設定は非常に重要で、近年、多くの企業で取り入れられています。
しかし、KPIという言葉を耳にすることはあっても、KPIが何なのかを理解し効率的に活用できている人は、少ないのではないでしょうか。
この記事では、KPIの意味だけでなく、関連用語との違い、KPIを設定するメリットやその手順なども解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
KPI(重要業績評価指標)とは?
KPIとは、「Key Performance Indicator」の略語です。日本語では「重要業績評価指標」と訳され、目標達成の過程における、達成度合いを測定するための定量的な指標を意味します。
KPIを設定することで、事業目標を達成するために必要となるプロセスの進捗を、数値で把握することが可能になるのです。KPIをチーム内で共有すれば、課題や方向性も明確になり、目標達成率の向上にもつながるでしょう。
それでは、ビジネスにおける使用例やKPIと混同されやすい関連用語との違いについて学びながら、さらにKPIの理解を深めていきましょう。
J’s X(ジェイズクロス)紹介資料ダウンロードのお申し込み
ビジネスにおけるKPIの使用例
ビジネスにおけるKPIの使用例には、以下のようなものがあります。
・営業部門
営業部門では、「商談数」「受注率」「リピート率」「平均受注単価」など売上につながる指標をKPIとして設定し、評価します。営業部門でKPIを活用すれば、個人の営業成績を可視化でき、人事評価にも役立つでしょう。
・マーケティング部門
マーケティング部門では、「新規顧客獲得数」「コンバージョン数」「コンバージョン率」「顧客満足度」などをKPIとして設定し、販促活動の効果を定量的に評価します。KPIが目標に届かない場合には、マーケティング施策の見直しも必要になるでしょう。
・技術開発部門
技術開発部門では、「エラー件数」や「テスト終了件数」などをKPIとして設定することで、技術開発・システム開発の工程の進捗状況や目標達成度を確認できます。製品の品質確保と納期を遵守するうえで、KPIの活用はとても重要です。
・製造工場
製造工場では、生産数や品質目標の達成のために、「ライン編成効率」「稼働率」「不良率」などをKPIとして用いて製品の生産効率を評価します。また、「事故発生件数」や「度数率」といった指標も、作業環境の安全確保のために活用されています。
J’s X(ジェイズクロス)紹介資料ダウンロードのお申し込み
KPIとKGIの違い
KPIが「重要業績評価指標」であるのに対し、KGI(Key Goal Indicator)は「重要目標達成指標」と呼ばれます。
J’s X(ジェイズクロス)紹介資料ダウンロードのお申し込み
KPIとOKRとの違い
OKR(Objectives and Key Results)は「目標(Objectives)と主要な結果(Key Results)」という意味で、目標管理手法の1つです。目標だけでなく、求められる結果も同時に設定することで、目標に対しての達成度をはかれます。
OKRが最終目標に向けての設計図のようなものとするなら、KPIはそれを達成するための詳細な指標で、目標までの過不足や到達具合をひと目で確認するためのものといえます。
J’s X(ジェイズクロス)紹介資料ダウンロードのお申し込み
KPIとKFSとの違い
KFS(Key Factor for Success)は、成功への鍵を握る要素「重要成功要因」と訳されます。
KPIが目標に向けての達成度合いをはかる指標であるのに対し、KFSは目標を達成するためのアプローチ、するべきことを明確にしたものです。KFSは、競合環境下で他社との優位性を築くためにも重要な要素であり、市場の構造分析などをして抽出していきます。
KSF(Key Success Factor)やCSF(Critical Success Factor)も、KFSとほぼ同じ意味で使われる用語なので、あわせて知っておくとよいでしょう。
J’s X(ジェイズクロス)紹介資料ダウンロードのお申し込み
KPIを設定するメリット
KPIを設定するメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。KPIの設定にはさまざまなメリットがありますが、ここでは、4つのメリットを紹介します。
目標達成に向けた計画が立てやすくなる
最終目標や大きな目標だけを示されても、社員はその目標達成のためにどのような行動を取るべきかがわかりません。
KPIを設定することにより、中間目標やプロセスごとの目標が明確になるため、具体的な行動へと落とし込みやすくなります。やるべきことや行動指針に沿った計画を立てることが可能です。
人事評価の基準の統一
KPIの設定では定量的な数値が用いられるため、人事評価の際には社員の評価基準を統一できます。
個人の指標も明確になり、公平性も担保しやすくなるでしょう。社員を客観的かつ公平に評価できるようになることで、評価に対する不満も生まれにくくなります。
組織全体のモチベーション向上
KPIを設定することで社員の間で目標が共有され、方向性も明確になるため一体感が生まれます。
目標達成のプロセスの中で課題が発生した場合や、意思決定の場においても認識の相違がおきにくくなり、スムーズに対応できるようになるでしょう。結果として、組織全体のモチベーションや生産性の向上も期待できます。
PDCAが高速化する
KPIを設定することにより、PDCAサイクルが高速化するというメリットもあります。
まず、KPIの設定によって具体的な目標ややるべきことが明確になっているため、行動が起こしやすくなります。さらに、KPIで設定した数値目標と現状を比較することで、目標の達成度合いの確認や問題点の把握も容易になり、改善に向けた仮説も立てやすくなるでしょう。
このようにPDCAが高速化することで、プロジェクトを効率的に進められるようになります。
J’s X(ジェイズクロス)紹介資料ダウンロードのお申し込み
KPI/KGI設定に活用できる「SMARTの法則」
KPIやKGIの設定をする際には、「SMARTの法則」を活用しましょう。SMARTの法則の「SMART」とは、以下の5つの要素の頭文字を取ったものです。
・Specific(明確性)
・Measurable(測定可能)
・Achievable(達成可能)
・Relevant(関連性)
・Time-bound(適時性)
目標設定の際には、これらの要素を意識することが有効だとされています。それぞれの要素について詳しく見ていきましょう。
S:Specific(明確性)
社内で共有するため、曖昧さをなくし、具体的で明確な目標設定が重要です。人によって解釈が変わってしまう文言は避け、誰が見てもわかるような指標を設定するようにしましょう。
M:Measurable(測定可能)
KPIやKGIは、数値化されていることに意味があります。進捗や達成度を、数値での測定ができれば、課題の早期発見にもつながりやすくなります。
「できるだけ多く」などの数値化されていない表現は、測定が不可能なので避けた方がよいでしょう。
A:Achievable(達成可能)
達成の難しい実現不可能な目標設定は、社員のモチベーションの低下につながります。達成可能な範囲で、社員の納得を得られるような目標を設定することが大切です。
ただし、あまりにも簡単に達成できてしまう目標では、チームや個人の成長につながらないため、ちょうどよいラインの見極めが重要になります。
R:Related(関連性)
目標を達成するためには、目標と具体策が関連している必要があります。
KPIは、KGIを達成するという目的で設定されるものです。企業が掲げる事業目標や戦略に関連した、適切なKPIを設定することが大切です。
T:Time-bounded(適時性)
目標設定では、期限を設けるようにしましょう。期限を設けた方が、行動の動機も生まれやすくなるからです。
期限が設けられていなかったり、「なるべく早く」などの曖昧な表現が使われていたりすると、つい後回しにしてしまいがちです。目標から逆算して、いつまでに何をすべきなのか、そのためにどのような行動が必要なのかという視点で考えましょう。
J’s X(ジェイズクロス)紹介資料ダウンロードのお申し込み
KPI設定の手順
KPI設定の際は、最初にKGIを設定し、それを達成するための要因であるKFSを特定してから、KPIを設定するという手順で行うとスムーズです。これらのプロセスについて、以下で詳しく説明します。
KGIの設定
KGIは最終目標にあたります。KGIの設定には、先ほど解説した「SMARTの法則」の活用が有効です。
KGIの設定では、「売上・利益率」などの数値ではかることができる指標を使用し、明確な期限を決めるようにしましょう。社員のモチベーションにも配慮しながら、達成可能な目標設定にすることも大切です。また、設定した目標は、社内全体に共有するようにしましょう。
KGIの細分化
KGIを設定したら、アプローチ方法を決めるために、KGIの達成につながる要素を細分化していきます。重要な鍵を握る要素であるKFSを、このあと紹介する手順で特定しましょう。
J’s X(ジェイズクロス)紹介資料ダウンロードのお申し込み
KFSの特定の手順
KFSを特定するための手順は、下記の4つです。
・プロセスの洗い出し
・数値化
・分類
・KFSの選別
それぞれの手順について、解説します。
プロセスの洗い出し
まず、KGIを達成するために必要なステップを、時系列に並べます。求める結果にいたるまでに、どのようなプロセス(業務)が、どのような順番で発生するのかを洗い出してみましょう。
数値化
プロセスを並べたら、KGIを設定した際に決めたゴールまでのプロセスを一つずつ、具体的に数値化していきましょう。
分類
数値化されたプロセスは、「自らの力でコントロールが可能かどうか」という観点と、「目標への影響の大きさ」の観点で種類分けをします。
まず、自分たちでコントロールできる項目とできない項目に分け、コントロールできるものに分類された項目については、目標への影響度の高いものから順番に並べてみましょう。
KFSの選別
先ほど分類したものの中で、自らの力でコントロールしやすく、目標に及ぼす影響度の高いものを、KFSとして選別します。
3C分析・5F分析・SWOT分析・PEST分析・バリューチェーンなどのフレームワークを活用してKFSを抽出するのもおすすめです。
KFSは一度決定したら終わりではなく、定期的に見直し、必要に応じて更新するようにしましょう。
KPIの設定
KFSの選定が終わったら、最後にKPIの設定を行います。KFSに対して、その要因ごとに具体的な数値目標や行動目標を設定します。
ここでも数値で表すことができ、達成可能な目標であることが重要です。KGIの設定の際と同じく、「SMARTの法則」のフレームワークを活用するとよいでしょう。
KPIツリーを作成
KGI・KPIを達成するための行動をわかりやすくするには、KPIツリーを作成してみましょう。
KPIツリーとは、KGIを頂点として枝分かれした樹形図型に、目標達成のために必要なプロセスであるKPIを配置したものです。設定したKGIを達成するために何を実行すればよいかという具体的な行動や、プロセスの全体像がひと目でわかるようになっています。
このKPIツリーを作成することで、最終目標と中間目標の関係性もわかりやすくなり、社員間での共有も容易になります。
KPIツリーの作成例を見てみましょう。
以下KPIツリーでは、「売上」というKGIを設定しています。このKGIがすべてのプロセスの頂点です。
KGIに設定した売上目標を達成するためのアプローチのうち、重要な要素となるものがKFSとして示されている「SNS運用」「SEO対策」「広告運用」です。そして、それぞれのKFSを具体的な数値目標に落とし込んだものをKPI1「SNS流入者数」「検索流入者数」「広告流入者数」として設定します。
そこから、さらにKPI2「購入ページ訪問者数」、KPI3「購入者数」というようにKPIを導き出し、ここにも具体的な数値目標を設定します。
J’s X(ジェイズクロス)紹介資料ダウンロードのお申し込み
KPI設定の具体例
KPI設定のおおまかな流れが理解できたら、よりイメージしやすくするために、KPI設定の具体例についても確認しておきましょう。4つの具体例を紹介します。
メールマーケティング
メールマーケティングとは、現代のマーケティング戦略においてよく使われる方法です。メールを活用し、顧客に対してのアプローチを行います。メールで顧客とのコミュニケーションを図ることで、集客やコンバージョンの達成、顧客との関係構築を目指します。
メールマーケティングの成果を評価するために使われる主なKPIは「獲得したメールアドレス総数」「メール開封率」「メール内リンクのクリック率」「メールからの最終的なコンバージョン率」などです。また、メール配信完了までの時間を集計するなど、デジタルツールを使用した際の業務効率化の定量的データも重要な指標になります。
Webマーケティング
Webマーケティングは、Webサイトへの集客を促し、商品やサービスの購入につなげるためのマーケティング活動です。Webマーケティングでは、デジタル広告の効果を数値で確認し、最適化するためにKPIの設定が大切です。
重視するKPIは、目的によって異なりますが、主なKPIとしては「ページビュー」「ユニークユーザー」「セッション数」「クリック率」「コンバージョン率」「コンバージョン獲得単価」などが挙げられます。これらの指標によって、広告の注目度やどのくらい効率的にユーザーの行動を促したかという成果を評価できます。
インサイドセールス
インサイドセールスは、主に電話を利用した営業手法です。見込み顧客や休眠顧客に能動的なアプローチを行い、購買意欲を高めるものです。そのため、主要なKPIとしては「架電件数」「商談件数」「商談単価」などが挙げられます。営業活動の効率性を評価する指標として、「架電件数に対する商談の発生確率」などをサブ項目とするケースもあります。
「受注数」「受注率」「受注額」といったKPIも、営業活動がどの程度受注に結びついたのかを示す指標として用いられます。
カスタマーサクセス
カスタマーサクセスは、既存顧客とコミュニケーションをとり、自社の商品やサービスを購入してくれた顧客へのフォローを行うことで、顧客生涯価値(LTV)を最大化することを目的としています。近年では、サブスクリプション型のビジネスが増えています。顧客とより長く、安定した取引をするためにもカスタマーサクセスは重要です。
主なKPIには、顧客との関係性を評価するために「解約率」「平均顧客継続契約期間」「顧客生涯価値」「顧客満足度」などが設定されます。その他、カスタマーサクセスの成果をはかるために「解約率」「顧客維持率」「オンボーディング完了率」「アップセルおよびクロスセル率」「売上継続率」などの指標も用いられます。
J’s X(ジェイズクロス)紹介資料ダウンロードのお申し込み
企業のKPI活用の成功事例
KPIは実際に多くの企業で活用されています。ここでは、KPIを効果的に活用して業績を向上させた成功事例を3つ紹介します。
Amazon
Amazonは、KPIを重視している企業として有名です。Amazonでは感覚的な判断ではなく、「メトリクス」と呼ばれる施策で得られた数値データに基づく意思決定が徹底されています。売上や利益などの財務指標だけでなく、顧客満足度、離脱率といった非財務指標もKPIとして設定されています。
また、キャッシュフローにKPIを導入しているという点も特徴的です。「CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)」と呼ばれる、商品仕入や原材料などに現金を投入してから最終的に現金化されるまでの期間は、Amazonでは平均「マイナス30日」です。
このCCCが短い企業ほど、効率的に資金を回転させているということになります。小売業界のCCCはプラスになるケースが多いことを考えると、Amazonのマイナス30日は驚異的な数字であり、非常に効率的に資金運用を行っていることがわかります。
日本航空(JAL)
日本航空(JAL)は2010年の経営破綻後、驚くべきスピードで復活を果たしました。その際、事業再生にあたって重視されたのは、顧客満足度を高めることでした。
顧客満足度を向上させるため、定時到着率をKPIとして設定し、KPI達成に向けて各部門で改善活動を行ったのです。具体的には、運航に関する情報の集約、客室乗務員・整備士の機内清掃への協力、手荷物搭載時間を短縮するための搭載計画の策定などの取り組みが行われました。
この結果、2015年には定時到着率が世界トップとなり、見事な経営回復を実現させたのです。
サイゼリヤ
サイゼリヤは、コストパフォーマンスの高いメニューが充実していることから、売上を伸ばしている企業です。その背景には、従業員一人ひとりの生産性を向上させるための企業努力があります。
低コストで顧客が喜ぶ商品やサービスを提供するために、サイゼリヤでは「人時生産性」という従業員1人が1時間に生み出す粗利益をKPIとして設定しています。この人時生産性を数値化して評価することで、作業の無駄が省かれ生産性は飛躍的に向上しました。外食産業における人時生産性の平均は約3,000円といわれていますが、サイゼリヤでは約4,000円となっています。
このサイゼリヤの例は的確なKPIの設定により、生産性と利益率を向上させた成功事例といえるでしょう。
J’s X(ジェイズクロス)紹介資料ダウンロードのお申し込み
まとめ
ここまで、KPIを設定することのメリットや、その設定方法などについて解説してきましたが、最も重要なのは、設定したKPIが社内で適切に運用されるということです。
せっかくKPIを設定しても、社内でしっかり共有されていなければ意味がありません。KPIの内容だけでなく、その目的や重要性もあわせて周知することが、組織全体としてのモチベーションアップや生産性の向上につながっていくでしょう。
また、定期的にレビューを行い、PDCAを回しながら、KPIの精度を高めていくことも大切です。
そのためには、社内の業務プロセスを整理して把握しておくことが欠かせません。
社内の業務プロセスの整理や把握にお困りの場合は、『J’s X(ジェイズクロス)』を活用してみませんか。『J’s X』は、豊富な導入実績を元に企業・団体のあらゆる業務プロセスを標準化しシンプルにすることに特化した、ITソリューションサービスです。
幅広い業界への導入経験から、貴社の適切な目標設定や組織づくりのサポートをさせていだきます。導入コンサルティングも実施しておりますので、ぜひ一度お問い合わせください。
J’s X(ジェイズクロス)紹介資料ダウンロードのお申し込み
