2024年04月08日
リスクマネジメントとは?
必要性や対策方法・プロセスについて解説
国内の事業環境や世界情勢も大きく変化する中で、企業は新たな形のリスクへの対応を求められるようになり、リスクマネジメントの重要性は高まっています。
問題発生の際に慌てないためにも、どのようなリスクがあるのかを知り、リスクマネジメントのプロセスに基づいて事前に対策を検討しておくことが大切です。
この記事では、リスクマネジメントとは何かということだけでなく、その必要性やプロセスについても解説していきます。
リスクマネジメントについて詳しく知りたい方、業務にいかしたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
リスクマネジメントとは?
リスクマネジメントとは、事前に想定されるリスクを洗い出し、対応策を検討して管理することで、損失を回避または軽減させるプロセスのことです。
企業が直面するリスクは、災害や事故、サイバー攻撃、情報漏洩、競合企業の参入など多種多様です。企業にとってこれらのリスクは、時に経営の根幹を揺るがしかねません。リスクを分析し、評価して優先順位の高いものから対応していくことで、効率的にリスクを管理することができるようになります。
リスクというとマイナスのイメージが強いかもしれませんが、実は、リスクの中には、利益を生みだす可能性があるものもあります。これらのリスクを適切に管理することは、企業の成長にもつながるのです。
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リスクマネジメントとクライシスマネジメントの違い
リスクマネジメントと「クライシスマネジメント」は混同しやすい言葉ですが、この2つには、以下のような違いがあります。
リスクマネジメントは、想定される危機を防ぐために行われるプロセスです。それに対し、クライシスマネジメントは、危機は必ず発生するものだということを前提にしています。その上で、発生した危機への対処方法を事前に検討しておくというプロセスを指します。
例えば、自然災害やテロなどの重大な危機が発生した際に、企業内が機能不全におちいることは覚悟して、その中でも影響や損失を最小限に抑えるための対策をするのが、クライシスマネジメントです。
広い意味では、リスクマネジメントに、クライシスマネジメントを含む場合があることも知っておくとよいでしょう。
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リスクマネジメントとリスクアセスメントの違い
「リスクアセスメント」は、「リスクの特定・分析・評価」というプロセスを指します。
リスクマネジメントには、リスクアセスメントの「リスクの特定・分析・評価」というプロセスに加え、その予防と対処までが含まれています。リスクアセスメントは、リスクマネジメントのプロセスの一部と考えることもできるのです。
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リスクマネジメントとリスクヘッジとの違い
「リスクヘッジ」とは、将来的に起こりうるリスクのために回避策や軽減策を立てることであり、リスクマネジメントのプロセスの一部だと言えます。リスクヘッジは主に金融や投資などの業界で使われてきた言葉でしたが、近年はシステム開発や新規事業開拓といったビジネスシーンでも用いられるようになってきました。
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リスクの種類・例
リスクにはさまざまな定義がありますが、国際標準化機構(ISO)による国際的なガイドラインでは、次のような言葉で定義されています。
「目的に対する不確実性の影響(Effect of uncertainty on objectives)」
国際的なガイドライン「ISO31000:2009 Risk management — Principles and guidelines」についての詳細は、以下のリンクをご参照ください。
Risk management — Principles and guidelines|ISO
リスクは、「純粋リスク」と「投機的リスク」の2つに分類できます。この分類に沿って、リスクにはどのようなものがあるのか説明します。
純粋リスク
「純粋リスク」とは、企業に損失のみを発生させるリスクです。
純粋リスクには、地震や水害、火災などの災害、事故、情報漏洩、著作権や特許権の侵害、粉飾決算などがあります。リスクマネジメントの際は、危機の発生を防ぐことが大切です。
純粋リスクは後述の投機的リスクに比べると、損害保険を利用するなどの対策がとりやすいものが多い傾向にあります。そのため、従来のリスク対策は、純粋リスクを対象に考えられることが一般的でした。
投機的リスク
「投機的リスク」は、損失だけでなく利益をもたらす可能性もあるリスクです。
投機的リスクには、法改正、規制緩和や強化、為替や金利の変動、新商品の開発などの営業戦略上のリスクがあります。近年は、リスクは利益の源泉であるとの考えから、企業はリスクを取って利益を追求しないと成長できない、と積極的に捉えられています。リスクマネジメントの際には、投機的リスクにおける損失発生の可能性をいかに最小限にするかがポイントです。
中小企業白書(2016年版)第2部第4章 稼ぐ力を支えるリスクマネジメント
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リスクマネジメントの必要性
グローバル化や情報技術の革新、アウトソーシングの拡大など、急速に企業をとりまく環境が変化する中で、従来の対応では防ぎきれない新たなリスクも生まれています。想定外のリスクに対応するためにも、企業はこれまで以上に、リスクマネジメントを積極的に行っていく必要があります。
リスクマネジメントの目的は、問題が発生した時の損失をなるべく回避し、事業を継続させることです。このことは、企業や社会にとってはもちろん、投資家にとっても重要です。最近では、IRにおいても、どのようにリスクマネジメントに取り組んでいるのかということが注目されています。
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リスクマネジメントの対応方法
リスクマネジメントの対応方法には、「リスクコントロール」と「リスクファイナンシング」という2つの方法があります。2つの違いについて解説します。
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リスクコントロール
「リスクコントロール」は、損失の発生頻度と大きさをコントロールする方法のことです。ここでは、「回避」「損失防止」「損失削減」「分離、分散」という4つの対応方法について説明します。
回避
リスクを伴う活動そのものを中止し、リスクを避ける方法です。(事業の中止や売却など)
損失防止
損失の発生を未然に防ぐための予防策を講じます。(取引先の取引前審査など)
損失削減
火災や事故が発生した際、損失の規模を小さく収めるための方法です。(スプリンクラーやエアバッグの設置など)
分離、分散
リスクの源泉を1カ所に集中することを防ぐため、分離・分散させます。(地震を想定した生産拠点の分散など)
リスクファイナンシング
「リスクファイナンシング」は、リスクによって発生した損失を補填するための資金繰りの方法のことです。「移転」と「保有」という対応方法があります。
移転
損失発生時に、保険などにより第三者から金銭的な損失補填を受ける方法です。
許容
リスクを認識した上で、あえて対策は講じず、損失発生時には自社で損失を負担します。
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リスクマネジメントのプロセス
リスクマネジメントのプロセスは大きく5つの工程があり、段階的に進めていく必要があるものです。順に詳しく解説します。
コミュニケーションおよび協議
まずは、社内のリスクの洗い出しと対策の検討のために、コミュニケーションと協議を行います。
とりわけ重要なのが、リスクマネジメントのトップである責任者とのコミュニケーションです。理解や把握が不十分であると、形だけの取り組みになってしまい、リスクマネジメントが十分に機能しなくなる場合があります。
また、リスクマネジメントに直接関係する従業員だけでなく、企業の全体でもリスクマネジメントへの取り組みを周知し、理解を促しましょう。
適用範囲や状況、基準の確定
コミュニケーションと協議が十分にできたら、リスクマネジメントの適用範囲や状況、基準を確定していきます。部署や業務によって発生するリスクの種類はさまざまです。想定されるリスクのすべてに、上限なく予算や人員を割けるわけではないため、配分を検討しなくてはなりません。
最適なリソース配分を行うためには、部署間の相互理解も重要です。各部署の担当者同士が連携しながら、適用範囲や状況、基準を定めて、効率的なリスクマネジメントを目指しましょう。
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リスクアセスメント
リスクアセスメントは、リスクの特定と分析、評価を行うプロセスです。1つずつ詳しく解説します。
リスクの特定
まず、想定されるリスクの洗い出しを行う「リスクの特定」を行います。小さなリスクも大きな損害につながる可能性があるため、抜けや漏れのないように書き出しましょう。組織に不利益となるリスクを探すことに加え、組織にとって利益をもたらす存在を認識する作業でもあります。
リスクの特定は、幅広い視野からの検討が重要です。リスク管理部門だけでなく、さまざまな社員に協力してもらいましょう。ヒアリングやブレーンストーミングを行う、専門家に調査を依頼して結果を参考にするなどの方法は、リスクの特定を効率的に行えます。
リスクの分析
リスクが特定できたら「リスクの分析」を行います。さまざまな分析手法がありますが、リスクの発生確率や影響度の大きさ、起こってしまった場合の結果、性質、複雑さ、結合性等の観点から判断することが基本です。
一例を挙げると、「発生確率」と「影響度の大きさ」を把握するために、「発生確率」×「影響度」のマトリクス上にそれぞれのリスクをマッピングして重大さを可視化するという方法が一般的です。影響度は、金銭的な損害を予測すると捉えやすいでしょう。数値で表しにくいリスクもありますが、統計など客観的なデータを用いて、できるだけ数値化をして考えましょう。
リスクの評価・算定方法
リスクを分析したら結果を比較し、アクションの必要性を判断して優先順位を決める「リスクの評価」を行います。多種多様なリスクが洗い出されますが、限られたリソースの中で、すべてに対応することは不可能です。そのため、重大なリスクから対応できるように優先順位を決めることは、リスク回避の正確性を高めるために重要です。
リスクの評価は、行った分析結果をもとに算定しますが、社内外の状況などが影響する場合もあるため、1つ1つ慎重に判断してください。また、リスク対応をすることで被害がどれぐらい軽減するかを評価する「残存リスクの評価」も行いましょう。
リスク対応
リスクアセスメントができたら、リストアップしたリスクに対して予防策を実施するリスク対応を行います。リスク対応は1度実施すれば完了するというものではありません。定期的に効果や様子を確認し、問題があれば追加の対応を検討して導入しましょう。
モニタリングおよびレビュー
リスク対応実施後に行うモニタリングやレビューも重要です。リスクマネジメントの対策が想定通りに機能しているかどうか、必ず確認しましょう。また、社内外の状況が変わればリスクも変化します。定期的なモニタリングとリスクの再評価、対策の改善を繰り返しながら、より確実なリスクマネジメントを目指しましょう。
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リスクマネジメントの課題・注意点
リスクマネジメントに取り組む際に課題となるものや注意が必要な点を解説します。
責任者が曖昧になっている
リスクマネジメントは、責任が大きいものです。誰が責任を持って取り組むかという点を明確にしないまま進めてしまうと、問題がたらい回しにされてしまう危険が高まります。リスクマネジメントの構築時や体制見直しの際には、責任者を明確に定めましょう。
また、形だけの責任者を立ててしまうと、結局は責任を担当者に丸投げしてしまうような事態にもなりかねません。責任者が形骸化しないように配慮した体制構築に取り組みましょう。
リスクが洗い出せていない
現代のビジネスシーンには不確定要素が多く、滞在的なリスクの予測は簡単なことではありません。また、社内の視点だけでは予測しきれないリスクもあるでしょう。
リスクの洗い出しが不十分であると、リスクマネジメントは不完全なものになってしまいます。社外の専門家といった第三者の意見も求めながら、より網羅的なリスクの洗い出しを行いましょう。
体制が整っていない
体制が整わないことでリスクマネジメントが進まないケースもあります。現場だけでは検討や作業に取り組む時間が確保できなかったり、負担になってしまったりという場合があるからです。
リスクマネジメントが思うように進捗していないと感じたら、外部委託する方法がおすすめです。専門家のアドバイスを得られる、実作業を代行してもらえるといったサービスを活用すれば、現場の負担を減らしながら継続的なリスクマネジメントが可能になります。
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リスクマネジメントとISMS
IT化を推進する企業が増える中で、情報セキュリティの強化は避けては通れない課題となっています。リスクマネジメントの観点においても、情報漏洩やサイバー攻撃などのリスクを低減することは重要です。そして、そのような情報セキュリティ体制を整え、リスク耐性の高い企業であることを、対外的にアピールするためにも「ISO/IEC 27001」の取得は有効な選択肢です。
ISMS(Information Security Management System)は、情報セキュリティマネジメントシステムを意味します。ISMSの国際規格として設けられているのが「ISO/IEC 27001」です。第三者による審査に合格し認証を受けることが、情報セキュリティ体制を構築し運用できている企業であることの証明になるのです。
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まとめ
近年、社会の不確実性が増していく中で、リスクマネジメントは企業を健全に経営していくために、これまで以上に欠かせないものとなっています。リスクマネジメントを怠れば、社会的信用を失ったり、事業の存続さえも難しくなることがあるでしょう。
ただ、企業が直面するリスクは時代とともに変化し、リスクの内容もそれぞれの企業で異なるというところに、対応の難しさがあることも事実です。
リスクマネジメントに取り組む際には、リスクの洗い出しのため、まず自社の事業を理解することが不可欠です。
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