2026年04月23日
なぜ今、自治体は“DX”に投資しているのか
—全国1,000拠点・8,000名の職員を支える次世代CRM基盤事例を紐解く—
■はじめに:自治体DXは「効率化」の話ではない
近年、自治体におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みは急速に進んでいます。
しかし、その本質は単なる業務効率化にとどまりません。
本来の目的は、業務効率化に加え、「住民一人ひとりに向き合う時間を増やすこと」にあります。
限られた職員・予算の中で、いかに質の高い公共サービスを提供できるか。
その問いに対する1つの答えが、「自治体職員と相談者のタッチポイントのデジタル化=CRM(Customer Relationship Management)基盤の再構築」です。
現場で起きている課題:分断された相談対応
今回ご紹介する行政機関の事例では、全国約1,000拠点において、
年間約100万件もの相談を受け付け、助言対応、レポーティング、関連省庁への報告、調査などを行っています。
しかし、全国の拠点のうち多くの現場では以下のような課題が顕在化していました。
•電話・メール・Webなどの相談チャネルが分断され、情報が一元管理されていない
•受け付けた相談に関する情報の入力項目の増加やルールの複雑化により、業務負荷が増大
•専門性が求められる業務も多く、業務が属人化し、ノウハウの蓄積や再利用が困難
職員の高齢化(約8割が50歳代以上)に伴い、業務の引き継ぎや教育に時間がかかる
その結果、本来注力すべき「住民対応」ではなく、「事務処理」に多くの時間を割かれる構造が生まれていました。
解決の方向性:業務・データ・ナレッジの統合
こうした課題に対して、今求められているのは、単なるシステム刷新ではなく、
業務・データ・ナレッジの“統合”です。
JSOLでは、DXプラットフォーム「J’s X(ジェイズクロス)」ServiceNowを活用し、以下を実現しました。
•相談情報・ナレッジ・業務プロセスの一元管理
•ルーティン業務の自動化・簡素化
•データ利活用による意思決定支援・傾向分析
•直感的に使えるUI/UXによる業務効率化
これにより、現場の業務構造そのものを再設計しています。
導入効果:人が“本来やるべき仕事”に集中できる環境へ
この取り組みにより、現場では大きな変化が生まれました。
•相談対応に使える時間:約1.5倍* に増加
•システム習熟までの期間:約1/2 * に短縮
•データ管理業務:約1/5* に削減
•新しい施策の検討時間:約1.2倍* に増加
これらの成果は、「人が価値を発揮する時間を取り戻した」ことを意味します。
その結果、職員が、より相談者に寄り添うための業務に時間をつかえるようになりました。
*:顧客ヒアリング等に基づく、弊社推測値となります。
成功のポイント:テクノロジー×業務知見
本プロジェクトが評価された背景には、単なるツール導入ではない、以下の要素があります。
•公共領域に特化したテンプレート「(J’s X(ジェイズクロス))」の活用
•高度なセキュリティと拡張性を備えたプラットフォーム
•ナレッジ活用を前提とした業務設計により、職員や相談者の自己解決を支援
•職員が必要な情報に素早くアクセスできる、すぐれたUI/UX
•多様なステークホルダーを巻き込む推進力
•確実にプロジェクトを完遂する方法論やJSOLの業務理解力
つまり、「テクノロジー × 業務理解 × 実行力」この掛け算が、成果を生み出しています。
J’s X(ジェイズクロス)の核となるプラットフォーム「ServiceNow」
ServiceNowは、デジタルワークフロー基盤を核としつつ、相談者からの各種相談やお問い合わせの管理、ナレッジ管理等、コールセンターやポータル系の顧客情報を管理する基盤としては最も優れており、
職員のコア業務・内部事務の効率化を確実に実現できるクラウドサービスです。
他のCRMサービスの多くは、ポータルから申請を行う利用者数に応じて課金されるモデルです。
それに対してServiceNowは、ワークフローの承認者の数で課金されるモデルのため、相談件数の増加に依存せずに利用することができるクラウドサービスとなります。
お客様は「相談件数を減らしたいとは思っておらず、あくまで相談者と向き合う時間をより多く確保したい」という思想があり、この考え方にマッチしました。
まとめ:DXとは“価値創出”である
DXは「効率化のための手段」ではありません。
人が本来やるべき、価値ある仕事に集中するための基盤です。
今回の取り組みは、その実現可能性を示した一例と言えるでしょう。
補足:本取り組みについて
本プロジェクトは、ServiceNowのパートナーアワードにおいても評価されました。
詳細は以下をご覧ください。
https://www.jsol.co.jp/release/2025/260316.html
