2024年04月08日
働き方改革とは?
企業が取り組むべき施策や事例をわかりやすく紹介
2019年4月より日本政府が推進している「働き方改革」は、業種や職種、企業規模にかかわらず、さまざまな企業にとって重要な取り組みです。
多くの企業が働き方改革への取り組みをはじめている一方、「具体的にはどのような取り組みなのか」「なにが変わるのか」など、疑問を抱えている方も多いでしょう。
この記事では、働き方改革とは何か、企業が取り組むべき施策や取り組み事例について詳しく紹介します。
働き方改革とは?
働き方改革とは、働く人それぞれが、多様で柔軟な働き方を選択できる社会を目指す取り組みです。
首相官邸ホームページで公表されている「働き方改革の実現」では、以下のように記載されています。
“働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。”
働き方改革の実現 | 首相官邸ホームページ
少子化問題や育児と介護の両立など、日本が抱える課題解決のためにも、働く人がよりよい将来の展望をもてる社会の実現が目指されています。
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働き方改革の背景
政府が働き方改革を推進する背景には、「少子高齢化に伴う労働人口の現象」があげられます。
国立社会保障・人口問題研究所がまとめた「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」では、日本の総人口は2030年に1億2,000万人を下回ると推計されています。2048年には9,913万人、2060年には8,674万人程度と9,000万人を割り込み、長期の減少過程に入ることが見込まれています。
生産活動の中心にいる生産年齢人口(15歳以上65歳未満)は、戦後一貫して増加したものの、1990年代をピークに減少局面に入っています。2060年の生産年齢人口は、ピーク時の半分になるとし、日本の経済や社会に大きな影響を与えるでしょう。
国立社会保障・人口問題研究所がまとめた「出生中位推計」によると、生産年齢人口は2030年に6,773万人、2060年には4,418万人にまで減少すると推測されています。
日本の将来推計人口|国立社会保障・人口問題研究所
このまま少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少すると、労働力不足や経済規模の減少、国際競争力の低下といった問題の深刻化が予測されます。このような背景により、政府主導で働き方改革への取り組みがはじまりました。
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働き方改革の3つの課題
働き方改革はさまざまな課題がありますが、ここでは最重要課題とされる、3つの課題について解説します。
長時間労働の是正
先進国の中でも、労働時間の長い国として知られている日本では、長年にわたり時間外労働やサービス残業が常態化しています。
長時間労働が常態化している職場環境では、家事や育児などのプライベートの時間を確保することは困難です。長時間労働の負担から、健康面に悪影響を及ぼすこともあるでしょう。
働き方改革は、ワークライフバランスを調整できる体制が必要不可欠であるため、常態化した長時間労働の是正は、早急に解決すべき課題です。
正規・非正規の格差解消
働き方改革を実現するためには、正規雇用者と非正規雇用者の格差解消も課題です。正規雇用者に比べて非正規雇用者は、平均賃金や各種手当、退職金などの待遇面に格差があります。
このような雇用形態の違いによる格差は、働くことへのモチベーション低下を招きかねません。働き方の多様化を目指すためには、雇用形態にかかわらず、待遇の統一化が必要です。
高齢者の就労促進
少子高齢化により労働人口が減少している日本では、働き手を確保することが難しくなりつつあります。労働人口不足を解消するためには、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)に含まれない、高齢者の就労促進も大きな課題といえるでしょう。
就業意欲のある高齢者の就労を促進するためには、高齢者にとっても働きやすい環境を整えなくてはなりません。
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働き方改革施行による具体的な取組み
働き方改革について理解が深まったものの、「どのようなことに取り組めばよいのか」と悩む方もいるでしょう。ここでは、働き方改革施行による、具体的な取り組みを紹介します。
1.時間外労働の上限規制
働き方改革の一環として「労働基準法」が改正され、時間外労働の上限規制が定められました。
休日労働を含まない時間外労働は、原則として月45時間、年360時間となり、特別な事情がなければこれを超えることはできません。上限を超えた場合は、労働基準法違反として、事業主が罰せられるようになりました。
2.勤務間インターバル制度の導入促進
勤務間インターバル制度とは、終業時刻から次の始業時刻までの間に、一定時間以上の休息時間を確保する制度です。休息時間の目安として、国は9〜11時間を基礎とした設定を推奨しています。
2019年4月に施行された「労働時間等設定改善法」により、勤務間インターバル制度の導入は事業主の努力義務となりました。
3.年次有給休暇の5日取得義務
年次有給休暇とは、賃金が支払われる休暇のことです。「労働基準法」によって、一定期間勤続した労働者に対して、年次有給休暇を付与することが義務付けられています。
2019年4月の「労働基準法」の改正により、年次有給休暇10日以上のすべての労働者に対し、毎年5日間、年次有給休暇を確実に取得させることが事業主の義務となりました。
4.労働時間の客観的把握
働き方改革関連法のひとつである「労働安全衛生法」が2019年4月に改正されたことにより、客観的な労働時間把握が義務化されました。これにより、事業主は全従業員の労働時間を客観的な方法で記録しなくてはなりません。
全従業員の労働時間を把握することは、長時間労働を防ぎ、健康への配慮も可能となります。
5.時間外労働の割増賃金率引き上げ
法定労働時間は原則8時間、1週間40時間と定められています。法定労働時間を超えて働いた労働に対して、企業は通常の賃金に割増した金額を支払う必要があります。
現行制度では、月60時間以上の割増賃金率は大企業で50%、中小企業は猶予措置で25%です。働き方改革関連法の成立に伴い、2023年4月からは中小企業も割増賃金率が50%以上へ引き上げられます。
6.同一労働同一賃金
同一労働同一賃金とは、雇用形態にかかわらず、同じ労働を行っていれば同じ賃金を支給するという考えです。
働き方改革の一環として、すべての企業を対象に同一労働同一賃金が導入されました。大企業では2020年4月に適用され、2021年からは規模にかかわらず、すべての企業で適用されています。これにより、雇用形態に関わらない公正な待遇確保を目指します。
7.フレックスタイム制の見直し
フレックスタイム制とは、労働者自身が日々の労働時間を決定することができる制度です。2019年4月の働き方改革関連法により、新しいフレックスタイム制が導入されました。
これまでのフレックスタイム制は、清算期間の上限が1ヶ月までとされていましたが、法改正により、清算期間の上限が3ヶ月と延長されました。清算期間を延長することにより、労働者の都合に応じた労働時間の調整が可能となり、柔軟な働き方の選択が可能となります。
8.高度プロフェッショナル制度の導入
高度プロフェッショナル制度とは、研究開発などの専門職に就き、年収1,075万円以上である場合に、労働時間規制や割増賃金支払の対象外になる制度です。
労働時間ではなく、労働の成果に対して報酬を支払う制度のため、労働時間に囚われず柔軟に働くことが可能となり、多様な働き方の実現が目指せます。
9.産業医機能の強化
産業医とは、労働者が健康で快適な作業環境のもとで仕事が行えるよう、専門的立場から指導・助言を行う医師のことです。
今までは1ヶ月あたり月100時間以上の残業をしている労働者が、産業医との面接対象でした。2019年4月以降は、80時間以上の残業をこなし、なおかつ疲労の蓄積が認められる労働者が面接対象となりました。産業医機能の強化は、労働者の健康相談の体制整備のために必要な取り組みです。
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働き方改革の取り組み事例
働き方改革の取り組みは、各企業によって多種多様です。ここでは、働き方改革に取り組んでいる、民間企業の取り組み事例を紹介します。
トヨタ自動車株式会社
厚生労働省が発表している「働き方・休み方改善ポータルサイト」では、働き方改革の参考事例として、日本最大手の自動車メーカーであるトヨタ自動車株式会社を紹介しています。
トヨタ自動車株式会社では、柔軟な働き方への変革を通じて、生産性が高く、生き生きと働ける職場の実現を目指しています。
在宅勤務の場所は原則自宅としたFTL制度(Free Time and Location)の導入や年次有給の取得促進、女性の一層の活躍推進に取り組んでいる点が特徴です。
トヨタ自動車株式会社|厚生労働省
花王株式会社
大手消費財化学メーカーの花王株式会社も、働き方改革に積極的に取り組んでいる企業です。
厚生労働省が発表している「働き方・休み方改善ポータルサイト」によると、花王株式会社はフレックスタイム制のコアタイム廃止や時間単位の休暇取得制度を新設しています。
男性社員の育児休業取得促進も社員の健康を守り、なおかつ仕事を効率的に進められるメリハリのある働き方を実現しています。
花王株式会社|厚生労働省
東京都港区(自治体)
働き方改革において欠かせない業務効率化は、作業の一部をロボット化することでも実現可能です。
東京都港区では、住民サービスの向上と業務の効率化を図るため、RPAソリューションを導入しています。住民からの家事支援依頼に関する受付業務をロボットによって自動化したことで、住民サービスの向上が可能となりました。
職員の超過勤務対象者の抽出や通知業務にもRPAソリューションを導入し、業務効率化や属人化解消を実現しています。
自治体働き方改革サポートプログラム|JSOL
建設業界や運送・物流業界で懸念される「2024年問題」
すでに施行されている時間外労働の上限規制ですが、建設業務や運送・物流業などの自動車運転業務については5年間の猶予期間が与えられ、2024年4月から施行されます。
2024年3月末が目前に迫った今、建設業界や運送・物流業界では猶予期間終了に伴って発生する、さまざまな問題が懸念されています。これを「2024年問題」と呼びます。
国土交通省「最近の建設業を巡る状況について【報告】」では、建設業界の就業人口は1997年の685万人をピークとして減少が続いていることが発表されました。深刻な人手不足を課題とする建設業界や運送・物流業界において、働き方改革は急務といえるでしょう。
最近の建設業を巡る状況について【報告】|国土交通省
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まとめ
少子高齢化が加速する日本において、働き方改革の実現は避けては通れない課題です。
長時間労働の是正や雇用形態の格差を解消することは、労働者のモチベーション向上につながります。働き方改革は、労働者のためだけに取り組むものではなく、結果的に企業の業績向上にもつながることを理解し、積極的に取り組むとよいでしょう。
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