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2025年02月14日

PLM導入で製造業を進化させる。
課題解決と未来へのヒントとは?(前編)

今回は、組立製造業界へのPLMシステム”ものづくリンク”の導入を手がける松本さんと竹内さんに、導入前の提案から運用開始までの流れについて伺いました。竹内さんは前職では自動車部品メーカーに勤務し、JSOLによるPLM導入を現場で経験した経歴をお持ちです。元ユーザの視点を交えながら、前半では導入前に多くの企業が直面する課題や、重要な視点やスタンスなど、導入準備のポイントをお伝えします。

 

製造業の挑戦を支援。PLM導入で「生産準備」の効率化へ

ーまずはお二人の業務を教えてください。

 組立製造業向けの業務システム改善において、特に自動車部品や工作機械関連のお客様へのソリューション提案を行っています。具体的なサービスとしてはPLM”ものづくリンク”導入、調達管理、業務の自動化、データ統合など、幅広く行っています。PLMは製造業で広く活用されるソリューションのひとつですが、当社の提案スタイルは、単純にモノやサービスを売るのではなく、開発やエンジニアの視点からの課題解決型の提案を行う点が特徴です。ご契約後は、プロジェクトの進行からシステムリリース、さらにその運用や保守までを一貫してサポートしています。また、当社独自のソリューション”ものづくリンク”をベースに、お客様の課題に適したサービスや運用方法を考案し、柔軟に提供しています。一連のプロセスを通じて、お客様のビジネス改善を支援しています。

ーお客様からのご依頼のきっかけはどういったものが多いのでしょうか。

多くの場合、お問い合わせは各企業様からいただきます。製造業全体が「PLM導入を推進すべき」という課題感を持っているため、業界全体の意識に基づいて動き出される企業が多いですね。(松本)
私は前職でPLMシステムの切替えをユーザー側として経験しました。当時はシステムの課題よりも、「生産準備期間」における課題が業界で大きな問題として認識されていました。生産準備期間とは、リリース前に製品の製造工程を検討・準備する段階で、必要な設備の手配などを行うフェーズです。自動車部品業界ではこの期間が2~3年に及ぶこともあります。
生産準備に携わる部門や部署はとても多いため、情報の一元化や業務フローの効率化はとても重要です。”ものづくリンク"は、まさにこの生産準備領域の課題解決へ力を発揮するシステムだと思います。(竹内)

ー生産準備期間は重要でありながら課題も多いフェーズなのですね。

 自動車部品業界は特にそこが重要ですね。車のモデルチェンジなどは約3年前から参画が始まり、量産に至るまでのこの期間が品質に直結します。さらに、原価低減の活動もこの期間に行こなわれるため、生産全体において欠かせないフェーズになります。

管理なぜDX化が進まない?企業が抱える2つの課題

ー「生産準備」における課題がベースとなる中で、お客様から解決を求められることが多い具体的な課題や要望はありますか?

 まず1つ目は、「情報の属人化」です。本来のひとつの部門だけで使うシステムというものは少なく、たいていの仕事は上流から下流部門までの繋がりで成り立っているものだと思いますが、情報を個人や部門管理してしまっているケースは非常に多いです。あとは使用ツールが統一されていないこともありますね。CADや図面などの専用システムはもちろん、仕事を進めるための日程管理もエクセルやその他のドキュメントなどバラバラで作成され、連携されていないことがあります。

ー情報が属人化すると、どのような問題や影響が生じますか?

 最新の情報を取得するのに時間がかかります。たとえば、資料が個別に保管されていると、そのノウハウが社内で共有されず、次に同じ作業を行う際にまた情報整理から始めなければなりません。そうなると必然的に生産準備にかかる工数が増えてしまいます。その結果、新規事業創出の機会が減ってしまったり、誤生産、ご発注など、会社全体の成長機会を逃すことへの繋がってしまうのです。

ーそもそも、なぜ情報が個人管理されてしまうケースが多いのでしょうか。

主な要因は、情報を共有するための仕組みが整っていないことです。多くの企業で、複数部門で共有できるシステムが存在していません。仮にシステムがあっても、その活用方法が周知されておらず、最適な使い方ができていないお客様もいらっしゃいます。システムが情報記録や検索のための手段になっており、本来の使い方である、部門を跨いで業務を回すためのものとして利用できていないのです。その結果、部門横断でのリアルタイムな情報連携が十分にできず、情報共有ロスが生じてしまうのです。

ーなるほど。他にもお客様からの課題・要望はありますか?

 2点目の課題として考えられるのは、「従来のやり方への固執」です。これまでの電話や紙資料などのアナログツールで情報共有を行っていた場合、その慣れ親しんだやり方のほうが早いと感じてしまい、デジタル方式を一から覚えるよりも効率的だと考えてしまうのです。そういった認識が根底にあると、PLM推進がスムーズには行かなくなってしまいます。

ーそうなってしまう要因としては何が考えられるのでしょうか。

 PLMに限らず、従来の業務のやり方を変えるということには、一定のハードルがあります。従来のやり方が楽という、考え方は私たちも理解しているつもりです。加えて、現場の社員の必ずしも全員が、自身の業務タスク以外にまで意識を高く持てるとは限らない点も大きいのではないでしょうか。たいていは個人や部署の個別最適を優先して物事を考えてしまうものです。全体を俯瞰して見れば、その個別領域が集約して全社の業績や成長に繋がっているわけですが、現場の一人ひとりがそれを常に意識できるかというと、必ずしもそうではないのだろうと思います。だからこそ私たちは、単にデジタル化することをゴールと見なすのではなく、それによってもたらされる個々の、そして社会全体としての業務上のメリットをしっかりと伝えて、納得していただけるようなアプローチをすることを心がけています。

ー「情報の属人化」と「従来のやり方への固執」、どちらも大きな課題なのですね。実際に竹内さんが現場で感じたPLMを導入するメリットは他にもありましたか?

最近よく言われるキーワードとしては、「グローバル活用」も挙げられます。グローバルサプライチェーンと言い、国内だけでもの作りが完結するケースは少なくなってきていますよね。今は海外拠点とも連携しながら進めていくことは主流です。私の前職でも、設計や開発は国内、生産は海外という体制でやっていました。国内外問わず複数拠点で連携することが今後ますます多くなる中で、情報連携はやはり欠かせないポイントと強く感じます。(竹内)

  

スムーズなPLM導入の鍵は?決める力と全体最適の視点

ー導入にあたり、スムーズな社内合意や推進を進めるために大事なポイントはどのような点でしょうか?

 『決める』ことができる人がいるかどうか、つまりプロジェクトリーダーの適任性が非常に重要だと感じています。生産準備の業務では、一つの決定事項であってもいち部署だけでは決められないことが多いのが現状です。よく見られるのは、プロジェクトの課題に対して、各部門が自部門の判断にとどまり、事務局に検討を依頼する状況です。しかし、事務局は業務部門ではないため、再び各部門に検討を依頼する--といった堂々巡りの議論になりがちです。

そのため、課題解決や導入から運用に至るまで、さまざまな場面で決断を下し、遂行できるリーダーの存在が非常に重要だと感じています。

ただし、このようなリーダーがいない場合も多いこともあると思います。

その場合は、決めるためのプロセスを事務局とユーザーで事前にすり合わせておくことが重要だと考えています。

私たちは設計、生産準備業務に十分な知見を持っているため、他社事例を含めて、決めるための情報提供を適宜実施させていただき、プロジェクトが円滑に進むようにサポートさせていただいています。(松本)


私の前職では、“ものづくリンク”導入のきっかけは『既存システムの老朽化』でした。しかしその時、『この機会にPLM導入をしっかり進めたい』と強い意志を持った方が一人いて、その方がプロジェクトをけん引してくださったのです。おそらく、こういった取り組みはボトムアップではなかなかスタートしづらいのではないでしょうか。最初にマネジメント層の方が『やるぞ』と決断し、そこから現場へ意識の浸透を進めていく、という流れがスムーズではないかと思います。(竹内) 

ーそのプロセスの中で見落としがちな視点や意識しておくべきことはありますか?

生産準備業務全体の中でも、特にどの部分を変えるのか、なぜその必要性を感じるのか、という具体的な軸を持っていないとスムーズな導入が難しいです。導入のゴールや目的を明確化できずに課題ベースで解決しようとすると、費用も時間もかかってしまいます。(松本)

あとは、部門ごとの個別最適を優先するあまり、全体として最適化されないケースもあります。一時的に負荷が高まることがあったとしても、全体最適が実現できるような合意と理解をしっかり持って進めていかなければいけません。(竹内)

DX成功の分岐点。現場を理解した明確なゴール設定が鍵に

ー実際にDX化が進まない事態に陥りやすい企業の特徴はありますか?

 先に申し上げたように、ツールを使わずに業務ができる状態にあったがためにツールが活かされないパターンは代表的な例です。しかし一番は、やはり目的やメリットを理解せず、「世間(業界)で必要とされているから」という理由で運用を進めてしまうケースではないでしょうか。

ーそのような事態に陥ることなく、企業が思い描いたPLMを実現するために注意するべきことはどんな点でしょうか?

 やはり推進チームの組成と統制力ですね。システムの機能ありきではなく、自分たちの業務をベースにした課題抽出とゴールの設定、その判断をきちんと下せる方の存在が必要です。もちろん最終的には、その目的を他の社員へ浸透させることも必要ですが、まずは中心となる方がしっかりとその点を言語化することが大切です。(竹内)


そのためには中枢メンバーとして業務理解のある人材を入れておくことをおすすめします。しっかりと現場の業務理解があり、自らが意思を持って導入を進めていける方がいれば、お客様の目的達成はよりスムーズになると思います。(松本)

後編:PLM導入開始から運用までをスムーズに行うポイントや成功事例

 

 


 

製造業様で取り組みを始めている生産準備プロセスの業務改革システム導入に向けたポイントを解説します。

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