2026年08月28日
地方銀行DX成功事例|契約率10%改善の実績
JSOL Salesforce導入支援
地方銀行のDX(デジタルトランスフォーメーション)は、顧客ニーズの多様化や競合環境の変化を背景に、経営上の重要なテーマとなっています。
一方で、業務プロセスの複雑さや既存システムとの関係から、具体的にどう進めれば良いのか悩むケースも少なくありません。
Salesforceは、こうした課題に対し、顧客情報の一元管理や業務プロセスの可視化・標準化を支援するプラットフォームとして、多くの企業で活用が進んでいます。
実際、地方銀行においても、ローン申込から契約までの手続きをデジタル化することで、契約率の改善や貸出実行額の増加につながった事例があります。
本記事では、地方銀行におけるDX推進の課題を整理したうえで、Salesforceの適用がどのような場面で有効とされるのか、具体的な事例を交えながら解説します。あわせて、導入時のポイントやROI(投資対効果)の考え方についても整理していきます。
地方銀行の3つのDX課題
地方銀行がDXを推進するうえでは、顧客接点・業務プロセス・データ活用といった複数の領域にまたがる課題への対応が求められます。ここでは、代表的な3つの課題を整理します。
顧客接点のデジタル化促進
地方銀行では、従来の対面中心の営業スタイルから脱却し、オンラインやモバイルを活用した顧客接点(営業・窓口・Web・モバイルなどの接触チャネル)の多様化が求められています。
特に若年層や法人顧客のニーズに応えるためには、利便性の高いデジタルチャネルの整備が重要となります。
業務プロセスの効率化
地方銀行の業務では、紙ベースの運用や複数システムにまたがる業務が多く、営業や審査、契約手続きに時間を要するケースが見られます。その結果、スピード感のあるサービス提供や、顧客対応の一貫性の確保が難しい状況につながっています。
データ活用の高度化
顧客データが分散して管理されているため、営業戦略やリスク管理に十分に活用しきれていない状況が見られます。これにより、顧客対応の一貫性や、申込・契約状況に応じた適切なフォローが難しくなる場合があります。
これらの課題は個別に発生しているのではなく、顧客接点・業務プロセス・データ活用が分断されている構造に起因していると考えられます。
「地方銀行DXにおける課題と改善の全体像」
Salesforceが地方銀行DXに適している理由
前章で整理した地方銀行DXの課題に対し、Salesforceは顧客情報の統合や業務プロセスの標準化、システム連携といった観点で活用されるケースがあります。ここでは、地方銀行のDX推進において有効とされる主なポイントを整理します。
顧客情報の一元管理と360度ビューの実現
顧客接点(営業・窓口・Web・モバイルなどの接触チャネル)や取引履歴、問い合わせ履歴などを一元的に管理することで、営業担当者や行内の関係部門が、顧客の状況を横断的に把握しやすくなります。これにより、部門をまたいだ情報共有や対応の一貫性向上が期待されます。
業務プロセスの可視化・標準化
Salesforceを活用することで、申込対応や契約手続き、行内業務の進捗管理といった業務プロセスの可視化・標準化を進めやすくなります。
特に地方銀行では、申込導線から行内業務までを一体で見直すことで、進捗管理のしやすさや業務効率の向上につながります。
セキュアなシステム連携
既存システムとの連携が求められる金融機関においては、セキュリティ要件を満たした接続方式の選定が重要になります。
たとえば、Private Connectのような接続方式を活用することで、クラウドと社内システム間の通信をパブリックインターネットから分離した構成を検討できます。
金融機関におけるSalesforce活用事例(地方銀行DXの実践パターン)
地方銀行におけるDX推進では、「どの業務に適用し、どのような変化が生まれるのか」を具体的に把握することが重要な検討ポイントとなります。ここでは、地方銀行を中心に、一部他の金融機関の事例も含めて、代表的な3つの活用パターンを整理します。
「Salesforce活用で起こる変化の全体像」
岩手銀行:Web完結型ローン申込サイトによる業務改革
● 課題:ローン申込において、来店や書面を伴う手続きが残っており、顧客利便性や申込機会の拡大に課題がありました。
● 解決策:JSOLの「Web完結型ローン申込サイト」を導入し、ローンの申込から契約までをWeb上で完結できる仕組みを構築しました。マイカーローンを手始めに、フリーローン、学費ローンへと対象を広げています。
● 成果:24時間365日の申込受付が可能となり、来店不要での手続きが実現しました。申込の9割がWeb経由となり、マイカーローンの貸出実行額も約1.5倍に成長しています。
※出典
https://www.jsol.co.jp/casestudy/71_iwatebank.html
ふくおかフィナンシャルグループ:契約率改善につながった業務改革
● 課題:カードローンのWeb申込後の契約事務において、複数システムをまたぐ対応や電話・郵送などのアナログ手続きが残っており、承認後の顧客離脱が課題となっていました。
● 解決策:Financial Services CloudとSalesforce Private Connectを活用し、SalesforceとAWS上のAPIゲートウェイを連携。行内画面の設計も含め、申込から契約完了までの業務プロセス改善を支援しました。
● 成果:顧客の離脱抑制により、契約率が約10%改善。申込から5日以内の契約完了率も、従来の約20%から約70%へ向上しました。
※出典
https://www.jsol.co.jp/casestudy/096_ffg.html
(参考事例)SMBC信託銀行:口座開設サイトの再構築
● 課題:口座開設における顧客接点をデジタル化し、PC・スマートフォンから利用しやすい申込環境を整備する必要がありました。
● 解決策:JSOLは、SMBC信託銀行の口座開設サイトを再構築。PC・スマートフォンに対応した申込サイトとして、約3カ月という短期間で運用を開始しました。
● 成果:申込者向けの手続きフォローや、行内担当者向けの管理画面を提供し、口座開設に関する顧客対応と行内事務手続きの効率化を実現しました。
※出典
https://www.jsol.co.jp/release/2017/170809.html
3事例の比較(課題・対応・成果)
| 観点 | 岩手銀行 | FFG | SMBC信託(参考) |
|---|---|---|---|
| 主なテーマ | Web完結ローン | 契約事務効率化 | 口座開設サイト再構築 |
| 課題 | 対面・紙中心 | 複数システム・アナログ手続き | 申込環境の整備 |
| 対応 | Web完結型サイト導入 | FSC・Private Connect活用 | マルチデバイス対応 |
| 成果 | 貸出実行額増加 | 契約率改善・5日以内契約完了率向上 | 手続きフォロー・管理画面提供 |
| 効果の特徴 | 申込機会拡大 | 離脱抑制・リードタイム短縮 | 顧客対応・行内事務効率化 |
これらの事例から、地方銀行DXを進めるうえで、単なるシステム導入ではなく、顧客接点と行内業務プロセスの両方を見直すことが重要だと分かります。
その結果として、申込・契約手続きの効率化、顧客対応の改善、業務負荷の軽減といった変化につながっています。
地方銀行DX特有の導入ポイント
地方銀行でSalesforce導入を検討する際には、業務特性や運用体制を踏まえた設計が重要となります。ここでは、地方銀行DXを進めるうえで押さえておきたい導入ポイントと対策を整理します。
業務部門との密接な連携
銀行業務の複雑さを踏まえ、現場部門と連携した要件定義を行うことが重要です。実際の業務フローや例外処理を反映することで、現実的かつ運用可能なシステム設計につながります。
業務プロセスに合わせた設計範囲の見極め
Salesforce導入では、申込導線や契約手続き、行内業務の進捗管理といった領域について、どこまでSalesforce上で管理するかを整理することが重要です。
特に地方銀行においては、既存業務や関連システムとの関係を踏まえながら、Salesforceで対応する範囲と、個別設計が必要な範囲を見極める必要があります。導入範囲を適切に整理することで、運用負荷の軽減や変更対応のしやすさにつながります。
セキュリティとコンプライアンスへの対応
金融業界では、法規制や情報管理基準への対応が前提となります。クラウド活用においては、ネットワーク構成やアクセス制御を含めた設計が重要です。
たとえば、Private Connectのような接続方式を活用することで、クラウドと社内システム間の通信をパブリックインターネットから分離した構成を検討できます。
定着化に向けた運用支援
システム導入の効果を最大化するためには、導入後の運用定着が重要な要素となります。利用者教育や業務改善の継続的な見直しを通じて、現場で活用される状態を維持することが求められます。
支援体制の一例として、継続的な運用支援を通じて、現場で活用される状態の維持・改善を支援する取り組みが行われています。
これらのポイントを踏まえたうえで、実際の導入における効果や投資対効果をどのように評価するかが、次の検討ステップとなります。
地方銀行DXのROI(投資対効果)の考え方
DX投資の成果を評価するうえでは、収益・コスト・リスクの3つの観点から整理することが有効です。地方銀行では、以下のような指標が検討材料となります。
収益面の効果
契約率の改善については、申込導線と業務プロセスの分断を解消し、リードタイムを短縮することが一つの要因となります。
● 契約率の向上(例:特定案件において約10%改善)
● 貸出実行額の増加(例:特定期間において約1.5倍)
コスト削減効果
● 申込・契約事務の効率化による業務工数の削減
● 標準機能や既存サービスを活用した開発により、開発・保守にかかる負荷を抑制
リスク軽減
● コンプライアンス遵守の強化による運用リスクの低減
● セキュリティ対策の強化による情報漏洩リスクの抑制
これらの指標を組み合わせて評価することで、DX投資の効果をより実態に即した形で把握することができます。
また、実際の導入においては、こうした指標をもとに現状との比較や改善余地を整理し、経営層への説明資料として活用されることがあります。
こうした指標を自社の状況に当てはめて整理することが、導入判断における重要な検討材料となります。
DX投資評価の観点整理
以下は、DX投資を検討する際に整理しておきたい主な評価観点です。
| 観点 | 評価ポイント | 確認すべき内容 |
|---|---|---|
| 収益 | 契約率・貸出額の変化 | どの業務が収益に直結するか |
| コスト | 業務工数・運用負荷 | 人手作業・重複業務の有無 |
| リスク | セキュリティ・コンプライアンス | 現状のリスクと改善余地 |
地方銀行DX導入ロードマップ
地方銀行のDX推進では、段階的かつ計画的に導入を進めることが重要です。以下は、一般的な導入プロセスの一例です。
| フェーズ | 主要タスク |
|---|---|
| 1. 現状分析・課題整理 | 業務ヒアリング、課題抽出 |
| 2. 要件定義・設計 | システム要件策定、画面設計 |
| 3. 開発・テスト | 要件に応じた構築、外部システム連携設定 |
| 4. 導入・トレーニング | 利用者教育、運用開始 |
| 5. 定着化・改善 | 利用状況分析、継続的改善 |
こうしたプロセスを通じて、業務に適合した形でシステムを段階的に導入し、運用定着までを見据えた取り組みが求められます。
また、プロジェクトの進め方や体制によっては、要件定義や定着化のフェーズに、より多くの期間を要することがあります。
支援体制の一例として、金融機関特有の要件に対応しながら、導入から運用までを継続的に支援する取り組みも行われています。
まとめ
地方銀行のDXは、顧客接点の多様化、業務プロセスの効率化、データ活用の高度化といった取り組みを通じて、競争力の強化につながるテーマです。
本記事で見てきたように、Salesforceの活用により、業務改革や顧客体験の向上、収益機会の拡大といった効果が確認されている事例もあります。一方で、導入にあたっては自社の業務特性や既存システムとの関係を踏まえた検討が重要となります。
まずは、自社の現状における課題整理や、どの領域から着手すべきかを明確にすることが、DX推進における具体的な検討の出発点となります。
Salesforceの導入検討にあたって、進め方や注意点を整理したい方は、以下の資料をご参照ください。
Salesforce導入・活用資料のダウンロード
https://promotion.jsol.co.jp/salesforce/download.html
導入の進め方や自社への適用可否について検討されている場合は、個別の状況に応じた情報提供も可能です。
DX推進に関するご相談はこちら
自社に適した進め方や適用範囲の整理をご支援します。
https://promotion.jsol.co.jp/salesforce/
よくある質問
Q1. 地方銀行のDXにSalesforceはどのくらいの期間で導入できますか?
A1. 対象業務の範囲や既存システムとの連携要件、セキュリティ確認の内容によって大きく異なります。まずは小規模な領域から着手し、段階的に拡張していく進め方が一般的です。
Q2. 地方銀行でSalesforceを活用しやすい業務領域はどこですか?
A2. ローン申込や契約手続き、顧客対応履歴の管理、行内業務の進捗管理などが検討対象になります。特に、紙や電話、複数システムをまたぐ業務は、顧客接点と行内業務の両面から見直しやすい領域です。
Q3. Private Connectの導入はどのようなメリットがありますか?
A3. Private Connectのような接続方式を活用することで、クラウドと社内システム間の通信をパブリックインターネットから分離した構成を検討できます。これにより、金融機関に求められるセキュリティ要件やネットワーク構成を踏まえた連携設計を行いやすくなります。
Q4. 導入後の運用定着支援はありますか?
A4. システム導入後の定着化に向けては、利用者教育や運用改善の継続的な見直しが重要です。プロジェクトによっては、伴走型の支援体制により、運用定着を支援する取り組みが行われるケースもあります。