2026年08月30日
製造業CRM導入
Salesforceで営業・顧客管理を
最適化するポイント
製造業におけるCRM(顧客関係管理)システムは、顧客情報の管理だけでなく、案件管理、見積・提案管理、営業活動、顧客対応まで含めた営業基盤として活用されています。
一方で、製品構成の複雑さ、部門横断の情報共有、既存システムとの連携など、製造業特有の要件により、導入や定着に課題を抱えるケースも少なくありません。
本記事では、製造業でCRM導入を検討する際に整理すべき課題や、必要となる機能、導入時のポイントについて解説します。
製造業が解決すべき5つの課題
製造業でCRM導入を検討する際、まずは営業・顧客管理に関する課題を整理することが重要です。主な課題は以下の5つです。
営業活動の属人化と情報共有不足
多くの製造業では、営業担当者の経験や人脈に依存した営業活動が残っており、顧客情報や案件状況が個人単位で管理されやすい傾向があります。
その結果、営業プロセスの標準化、新人育成、担当変更時の引き継ぎが難しくなり、組織全体で営業活動を管理・改善しにくくなります。
複雑な製品ラインナップ・多様な顧客ニーズへの対応
製造業では、製品の種類が多く、顧客ごとに仕様変更や個別要件が発生します。
そのため、商談履歴、提案内容、仕様変更、見積条件などを一元的に管理できない場合、提案精度の低下や確認作業の増加につながります。
営業プロセスの非効率と長期化
案件管理、見積作成、承認、受注までのプロセスが手作業やExcelに依存していると、進捗確認や社内調整に時間がかかります。
特に、複数の部門へ確認が必要な案件では、営業リードタイムが長期化して対応スピードの低下につながる可能性があります。
顧客データのサイロ化と活用不足
営業、製造、サービス、保守などの部門ごとに顧客データが分散していると、顧客の状況を全社で把握しにくくなります。
その結果、追加提案、保守提案、問い合わせ対応などのタイミングを逃しやすくなり、顧客接点を十分に活用できなくなります。
営業・顧客管理のデジタル化遅れ
製造業では、基幹システムやExcelを中心とした業務運用が残っている企業も少なくありません。
案件状況や顧客対応履歴が複数のシステムやファイルに分散すると、営業活動の全体像を把握しにくくなります。その結果、部門間の情報共有や営業プロセスの標準化が進みにくくなることがあります。
製造業向けCRMに求められる機能
製造業でCRMが定着しにくい理由は、ツールの有無だけでなく、業務の複雑さをどこまでシステム設計に落とし込めるかにあります。
JSOL「CRM活用前後の情報連携イメージ」
営業担当者が抱えている案件情報、製品仕様、見積条件、部門間の確認事項が分断されたままでは、CRMを導入しても入力負荷だけが増え、現場活用につながりません。そのため、製造業向けCRMでは、顧客情報の管理に加えて、案件・仕様・見積・承認・顧客対応までをつなげて扱える機能設計が重要になります。
案件管理と仕様変更への対応
製造業では、標準品だけでなく、仕様変更や個別対応を含む案件が多く発生します。
そのため、提案内容、仕様変更履歴、見積条件などを案件単位で管理できることが重要です。これにより、担当変更時の引き継ぎや、過去案件を踏まえた提案を行いやすくなります。
ERP・BOMなど周辺システムとの連携
製造業では、CRMだけでなく、ERPやBOM(Bill of Materials:部品表)などの周辺システムにある情報を営業活動で活用する場面があります。商談や見積検討の際に、製品構成や関連情報を参照できる状態にしておくことで、社内確認の工数を抑えながら、見積内容の整合性の向上にもつなげやすくなります。
見積作成・承認ワークフローの標準化
製造業では、製品仕様や取引条件によって見積内容が複雑化しやすく、承認フローも多段階になる傾向があります。
見積作成や承認プロセスをシステム上で標準化することで、確認漏れや属人的な運用を抑えながら、社内調整の効率化につながります。
顧客・案件分析、営業予測機能
営業活動や案件データを可視化することで、案件状況や受注見込みを把握しやすくなります。また、顧客属性や受注傾向を分析することで、重点顧客への対応や営業リソース配分の最適化にも活用できます。
モバイル対応による現場営業支援
営業担当者が外出先や工場内から、スマートフォンやタブレットで案件情報や顧客情報を確認・更新できる環境も重要です。
これにより、現場で確認した内容をリアルタイムに共有しやすくなり、報告遅延や二重入力の削減につながります。
製造業CRMにおけるSalesforce標準機能の活用
製造業向けCRMでは、業務要件に合わせた柔軟な設計が求められる一方で、個別開発を増やしすぎると、導入後の改修や保守が重くなりやすいという課題があります。
そのため、Salesforce導入では、標準機能で対応できる範囲と、個別開発が必要な範囲を見極めることが重要です。
標準機能を活用する意味
Salesforce導入では、すべての業務要件を個別開発で作り込むのではなく、まずはSalesforce上で管理すべき情報や業務プロセスを整理することが重要です。
特に製造業では、案件情報、顧客情報、営業活動、部門間連携など、営業プロセスが複雑になりやすいため、導入後の変更や保守を見据えた設計が求められます。
個別開発が必要な範囲を切り分ける
Salesforceを活用する場合でも、すべてを標準的な設定だけで対応する必要はありません。
既存システム連携や独自の業務ロジックなど、個別設計が必要な範囲を切り分けることで、現場要件に対応しながら、運用しやすいCRM基盤を設計しやすくなります。
製造業CRM導入事例
製造業CRMの導入では、顧客情報や営業情報を一元化するだけでなく、部門をまたいだ情報共有や営業活動の可視化まで見据えた設計が重要になります。ここでは、製造業におけるSalesforce活用事例を紹介します。
シチズンマシナリー株式会社様:部門横断で顧客情報を共有する基盤を構築
シチズンマシナリー株式会社様では、「みんなが顧客目線」をテーマに、営業部門だけでなく、製造部門やサポート部門も含めて顧客情報を共有できる状態を目指していました。
Salesforceを活用し、営業引合いから生産計画までをシステムで一気通貫に連携しました。部門をまたいで情報を共有しやすくなったことで、顧客対応の連携強化に加え、生産効率の向上にもつながっています。
出典:JSOL導入事例(シチズンマシナリー株式会社様)
https://www.jsol.co.jp/casestudy/075_cmj.html
株式会社モリタ様:営業支援システムを刷新し、営業情報を可視化
株式会社モリタ様では、中期経営計画「SWITCH」においてDX推進を掲げ、お客さま情報の一元化や、新たな顧客接点の創出を重要テーマとしていました。
JSOLは、Salesforce Sales Cloudを活用した営業支援システムの計画立案・構築を支援。同事例では、業務レベルの課題やニーズを踏まえ、主要業務機能の85%をノーコードで実現しています。
導入後は、顧客情報や営業情報を一元的に管理できる環境を整備。見込み情報から成約までの営業情報管理や、KPI達成状況・営業活動の進捗状況の可視化につながっています。
出典:JSOLニュースリリース(株式会社モリタ様)
https://www.jsol.co.jp/release/2024/240424.html
製造業向けCRM導入事例はこちら
https://promotion.jsol.co.jp/salesforce/cycle.html
製造業種別のCRM活用ポイント
製造業と一口にいっても、扱う製品や商流、営業プロセスによって、CRMに求められる役割は異なります。そのため、CRM導入では「製造業向け」と一括りにせず、自社の商材特性や顧客接点に合わせて、管理すべき情報を整理することが重要です。
以下は、製造業における業種別のCRM活用ポイントを一般的な観点で整理したものです。実際に管理すべき情報や連携範囲は、各社の商材・商流・既存システム構成によって異なります。
| 業種 | CRMで管理したい情報 | 活用ポイント |
|---|---|---|
| 自動車部品製造業 | 仕様変更履歴、納期調整履歴、顧客・取引先情報 | 営業・技術・生産管理間の情報共有 |
| 精密機器製造業 | 製品仕様、提案履歴、顧客対応履歴 | 営業からサポート部門までの情報共有 |
| 食品加工業 | 商談履歴、問い合わせ対応履歴、販促情報 | 顧客対応履歴の一元管理 |
| 重工業・設備製造業 | 案件進捗、契約情報、顧客対応履歴 | 長期案件の状況可視化と部門間連携 |
製造業CRMで標準化された設計を活用するメリット
製造業向けCRM導入では、すべてを個別開発で構築するのではなく、あらかじめ整理された設計を活用しながら、自社業務に合わせて調整するアプローチが重要となります。
特に、案件管理、顧客情報管理、承認フロー、部門間連携など、製造業で共通しやすい業務については、標準化された設計を活用することで、導入時の検討範囲を整理しやすくなります。
導入期間を短縮しやすい
標準化された設計を活用することで、ゼロから要件を整理する範囲を減らし、導入を進めやすくなります。すべてを個別に設計する場合と比べて、初期検討や設計にかかる負荷を抑えやすい点がメリットです。
個別開発・保守負荷を抑えやすい
CRM導入時に管理すべき情報や業務プロセスを整理しておくことで、個別開発が必要な範囲を見極めやすくなります。その結果、導入時だけでなく、運用開始後の改修や保守対応も進めやすくなります。
現場運用に合わせて調整しやすい
標準化された構成をベースにすることで、業務変更や運用改善に合わせた設定変更を行いやすくなります。
特に、営業活動や顧客対応の進め方が部門・商材ごとに異なる製造業では、運用しながら改善しやすい構成が重要になります。
将来的な拡張に対応しやすい
導入時点で管理対象や連携範囲を整理しておくことで、将来的な機能追加やシステム連携も段階的に検討しやすくなります。
製造業CRMでは、営業活動の可視化から始め、顧客対応、部門間連携、周辺システムとの連携へと段階的に活用範囲を広げていくことも重要です。
導入ステップとROI(投資対効果)の考え方
製造業CRM導入では、システム構築だけでなく、導入前の業務整理や運用開始後の改善まで含めて計画することが重要です。
ROIを検討する際の主な観点
製造業CRM導入の投資対効果は、単純な売上向上だけでなく、営業活動の可視化、業務工数削減、情報共有負荷の軽減、将来的な保守・改修負荷なども含めて評価することが重要です。
| 観点 | 確認すべき内容 |
|---|---|
| 営業工数の削減 | 案件更新、報告、引き継ぎにかかる時間 |
| 情報共有の効率化 | 顧客情報、案件状況、提案履歴を部門横断で確認できるか |
| 案件管理の可視化 | 商談状況、受注見込み、停滞案件を把握できるか |
| 保守・改修負荷 | 将来的な変更に対応しやすい構成になっているか |
| 現場運用 | 入力負荷が過度に増えず、継続的に利用しやすい設計になっているか |
営業業務の効率化を目的としたSalesforce導入では、案件更新、報告、情報共有などにかかる工数を効果指標として設定することがあります。CRM導入の投資対効果は、売上だけでなく、業務効率化や運用負荷の観点も含めて整理することが重要です。
導入後の運用・改善を支える支援体制
製造業CRMは、導入後も営業活動や業務プロセスの変化に合わせて見直しを続けることが重要です。
JSOLでは、Salesforce導入後の運用やバージョンアップ対応を見据え、Salesforce向けCCoE(Cloud Center of Excellence)による支援体制を整えています。導入後の改善や運用課題への対応を継続的に進めることで、CRMを長期的に活用しやすい状態づくりを支援します。
JSOL「CCoEサポート図」
また、CRM導入では、初期設計の品質が導入後の運用性や拡張性に影響します。JSOLには、Salesforce認定テクニカルアーキテクトを取得した専門人材も在籍しており、業務要件や既存システムとの関係を踏まえた設計支援を行っています。
導入時だけでなく、将来的な機能追加や運用変更も見据えて設計することで、長期的に活用しやすいCRM基盤づくりにつながります。
JSOL「Salesforce認定テクニカルアーキテクト取得に関するリリース」
https://www.jsol.co.jp/release/2022/230222_2.html
まとめ
製造業におけるCRM導入では、顧客情報管理だけでなく、案件管理、見積・承認フロー、部門間連携、導入後の運用改善まで含めて設計することが重要です。
特に、製品構成や営業プロセスが複雑な企業では、Salesforceで管理する範囲と、個別設計が必要な範囲を整理することで、導入後の保守・運用負荷を抑えやすくなります。
JSOLでは、製造業向けSalesforce導入において、業務整理から設計・構築、運用改善までを支援しています。
「どこまでをSalesforceで管理すべきか」
「既存システムとどう連携するべきか」
「標準機能でどこまで対応できるか」
を整理したい場合は、導入事例や構成例をもとに検討ポイントをご確認いただけます。
製造業向けCRM導入事例についてはこちら
https://promotion.jsol.co.jp/salesforce/cycle.html
製造業向け資料DLはこちら
https://promotion.jsol.co.jp/salesforce/download.html
よくある質問(FAQ)
Q1. 製造業向けCRMの導入期間はどのくらいですか?
A1. 導入範囲や既存システムとの連携有無、個別開発の範囲によって異なります。案件管理や顧客情報管理を中心とした導入であれば比較的短期間で進めやすい一方、基幹システムや見積システムとの連携を含む場合は、要件定義やテストに十分な期間を確保する必要があります。
Q2. 既存の基幹システムやERPとの連携は可能ですか?
A2. Salesforceは外部システムとの連携を前提に設計できます。ただし、連携方式、対象データ、更新頻度、セキュリティ要件によって設計内容は変わります。導入前に、どのシステムとどの情報を連携するかを整理することが重要です。
Q3. 製造業CRMでは、どこまでSalesforceで対応できますか?
A3. すべての要件をSalesforceだけで対応するのではなく、Salesforceで管理する範囲と、個別開発や既存システム連携が必要な範囲を切り分けることが重要です。標準機能を活用できる部分を適切に整理することで、保守・改修しやすい構成につながります。
Q4. 製造業向けCRMでは、どのような情報を管理すべきですか?
A4. 案件情報、顧客情報、提案履歴、見積条件、承認状況、仕様変更履歴、顧客対応履歴などが主な管理対象になります。自社の営業プロセスや部門間連携の状況に合わせて、CRMで管理すべき情報を整理する必要があります。
Q5. 導入後の運用定着には何が必要ですか?
A5. システム構築だけでなく、入力ルール、運用ルール、現場への教育、導入後の改善サイクルが重要です。利用状況や現場のフィードバックをもとに、入力項目や画面構成を見直すことで、継続的に活用しやすい状態に整えられます。
Q6. CRM導入の効果はどのように評価すればよいですか?
A6. 営業工数の削減、案件状況の可視化、情報共有の効率化、引き継ぎ負荷の軽減、保守・改修負荷の抑制などを評価観点として整理します。売上向上だけでなく、業務プロセス全体の改善効果を確認することが重要です。