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ホーム > Salesforce導入・活用ノウハウ > Salesforce Data 360(旧 Data Cloud)とは? Agentforce時代の顧客データ基盤を解説

導入・構築製品・機能紹介活用ノウハウ

2026年07月22日

Salesforce Data 360(旧 Data Cloud)とは?
Agentforce時代の顧客データ基盤を解説

Salesforce Data 360(旧 Data Cloud)とは、あらゆる顧客データを統合し、リアルタイムで活用するためのデータプラットフォームです。
この記事では、Data 360の基本的な機能や導入するメリット、Agentforce時代の顧客データ基盤について具体的に解説します。
導入を検討している企業の担当者様はぜひ参考にしてください。

  • 著者情報

    五十嵐 翔平

    JSOL エンタープライズ&ソーシャルビジネス統括本部 ビジネスデザイン&マーケティング部
    BtoBのお客様向けシステムプロジェクトマネージャー経験から新規サービス企画・立ち上げを実施。
    現在はJSOLソリューションに関するマーケティング推進に従事。

企業が扱うデータ量が爆発的に増加する現代において、顧客一人ひとりを深く理解し、最適なアプローチを行うことの重要性はますます高まっています。しかし、データが様々なシステムに散在していることで、その実現に困難を感じている企業は少なくありません。そうした課題を解決するためにSalesforceが提供するのが「Salesforce Data 360」です。この記事では、Data 360の基本的な概念から主な機能、メリット、料金体系、そして従来のCDPとの違いまで、網羅的に解説します。

Salesforce Data 360とは?

Salesforce Data 360は、企業内外に存在するあらゆる顧客データをリアルタイムで統合し、Salesforceが提供する様々なアプリケーション(Sales Cloud, Service Cloudなど)で活用可能にするためのデータプラットフォームです。顧客に関するすべてのデータを一元的に管理し、AIを活用してインサイトを導き出すことで、よりパーソナライズされた顧客体験の提供を支援します。

参考: Salesforce Data 360(旧Data Cloud) | セールスフォース・ジャパン

すべての顧客データをリアルタイムで統合する基盤

現代の顧客は、Webサイト、モバイルアプリ、店舗、ソーシャルメディアなど、多様なチャネルを通じて企業と接点を持っています。その結果、顧客データはCRM、MAツール、ECプラットフォーム、POSシステムといった異なる場所にバラバラに保管されがちです。Data 360は、これらの散在したデータをリアルタイムで取り込み、統合された単一の顧客プロファイルを構築します。これにより、営業、サービス、マーケティングといった全部門が、常に最新かつ統一された顧客情報に基づいて行動できるようになります。

Salesforce CDPから進化したCustomer 360の核

Data 360は、以前「Salesforce CDP」と呼ばれていた製品の進化版と位置づけられています。Salesforce CDPが主にマーケティング領域でのセグメンテーションや広告配信の最適化を目的としていたのに対し、Data 360はその適用範囲をSalesforceのプラットフォーム全体、すなわち「Customer 360」のすべてに拡張しています。これにより、マーケティングだけでなく、営業の商談活動やカスタマーサービスの対応においても、統合されたリアルタイムデータを活用できるようになりました。

なぜ今Data 360が必要とされるのか

顧客の期待は常に高まっており、自分に関連のない情報や画一的な対応には満足しなくなっています。企業が競争優位性を確立するためには、顧客一人ひとりの状況やニーズをリアルタイムで把握し、先回りした提案やサポートを提供することが不可欠です。Data 360は、そのために必要となるデータの基盤を提供します。サイロ化されたデータを解放し、AIと連携させることで、企業は真に顧客中心のビジネスへと変革を遂げることができます。

課題の種類 従来の状況 Data 360による解決策
データの分断 各システムにデータが散在し、顧客の全体像を把握できない あらゆるソースからデータを統合し、単一の顧客ビューを構築
リアルタイム性の欠如 バッチ処理などにより、データが古く、機会損失が発生 リアルタイムでデータを連携し、瞬時のアクションを可能にする
部門間の連携不足 各部門が異なる顧客情報を見ており、一貫性のない対応に 全社共通のデータ基盤により、シームレスな部門間連携を実現

Salesforce Data 360の主要な機能

Data 360は、データの取り込みから活用までを一貫してサポートする多彩な機能を備えています。ここではその主要な機能を紹介します。

あらゆるデータソースへの接続と取り込み

Data 360は、Salesforce内のデータはもちろん、Amazon S3、Google Cloud Storageといった外部のデータレイク、各種データベース、さらにはモバイルアプリやWebサイトからストリーミングされるリアルタイムの行動データまで、様々なデータソースに接続するためのコネクタを提供しています。これにより、コーディングを行うことなく、多種多様なデータをプラットフォームに取り込むことが可能です。

データの統合と調和(ハーモナイゼーション)

取り込まれたデータは、そのままでは形式や項目名がバラバラで活用しにくい状態です。Data 360は、異なるデータソースの情報を共通のデータモデルにマッピング(紐付け)する「ハーモナイゼーション」というプロセスを行います。さらに、AIを活用したID解決機能により、異なるシステム上にある同一人物のデータを名寄せし、精度の高い統合顧客プロファイルを自動的に生成します。

高度なセグメンテーションと有効化(アクティベーション)

統合された顧客プロファイルを用いて、マーケターや営業担当者は直感的な操作で高度な顧客セグメントを作成できます。「過去30日間にECサイトで特定の商品を閲覧し、かつ高額な商品を一度以上購入した顧客」といった複雑な条件でも、容易に抽出が可能です。作成したセグメントは、Marketing Cloudでのメール配信、広告プラットフォームでのターゲティング、Sales Cloudでの営業リスト作成など、様々なアクション(アクティベーション)に直接つなげることができます。

AI(Agentforce)によるインサイトの獲得

Data 360は、SalesforceのAIである「Agentforce」および「Einstein」とネイティブに統合されており、CRMデータだけでなく、Web行動履歴や外部システムのデータ、社内ナレッジなどを統合してAIが活用できる環境を提供します。 Agentforceはこれらのデータをリアルタイムに参照しながら推論・判断を行うため、顧客ごとの状況に応じた最適な回答や提案を自動で実施できます。
例えば、問い合わせ対応では過去の取引履歴や対応履歴を踏まえた回答を生成し、営業活動では顧客属性や行動データを基に次に取るべきアクションを提案できます。これにより、営業・マーケティング・カスタマーサービス業務の効率化と、よりパーソナライズされた顧客体験の実現が可能になります。

Salesforce Data 360を導入する3つのメリット

Data 360を導入することで、企業は具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。ここでは主な3つのメリットを解説します。

メリット 具体的な効果 担当部門
一貫した顧客体験 顧客満足度とロイヤリティの向上 マーケティング、営業、サービス
高度なパーソナライゼーション コンバージョン率とエンゲージメントの向上 マーケティング、EC
業務効率化と意思決定 生産性の向上とデータに基づいた戦略策定 全部門

あらゆる顧客接点で一貫した体験を提供する

最大のメリットは、顧客接点を持つすべての部門が、リアルタイムで更新される統一された顧客情報を共有できる点です。例えば、顧客がWebサイトで特定の製品に興味を示したという情報が即座に営業担当者の持つCRMデータに反映され、次の電話アプローチで的確な提案ができるようになります。このように、チャネルや部門を横断して一貫性のある、質の高い顧客体験を提供することが可能になります。

リアルタイムデータでパーソナライゼーションを深化させる

Data 360は、顧客の「今」の行動をリアルタイムで捉えることができます。例えば、ECサイトで商品をカートに入れたまま離脱した顧客に対して、数分以内にパーソナライズされたリマインドメールを自動送信するといった施策が実現可能です。過去の購買履歴だけでなく、最新の行動データに基づいたきめ細やかなパーソナライゼーションは、顧客のエンゲージメントを大きく向上させます。

業務効率の向上とデータドリブンな意思決定を促進する

これまで手作業で行っていたデータの収集や統合、レポート作成といった作業を自動化できるため、従業員はより戦略的な業務に集中できます。また、TableauなどのBIツールと連携することで、統合されたデータを可視化し、組織全体でデータに基づいた客観的な意思決定を行う文化を醸成することにもつながります。

Salesforce Data 360の注意点

多くのメリットがある一方で、Data 360の導入と運用には注意すべき点もあります。

導入と運用には専門知識が必要になる

Data 360は非常に高機能なプラットフォームであるため、その価値を最大限に引き出すには、データモデリング、システム連携、データガバナンスといった領域に関する専門的な知識やスキルが求められます。導入初期には、どのデータをどのように統合し、どのような目的で活用するのかという詳細な要件定義が不可欠です。自社内にリソースがない場合は、経験豊富な外部パートナーの支援を受けることを検討する必要があります。

コストは消費クレジット量に応じて変動する

Data 360の料金は、基本ライセンス料に加え、データの処理量やプロファイル数などに応じて消費される「クレジット」に基づく従量課金制が採用されています。そのため、利用状況によっては想定よりもコストが増加する可能性があります。導入前に、自社のデータ量や想定されるユースケースを基に、十分なコストシミュレーションを行うことが重要です。

Salesforce CDP(旧製品)との違いは?

Data 360と、その前身であるSalesforce CDPは、同じ技術基盤を持ちながらもいくつかの重要な違いがあります。

項目 Salesforce CDP(旧製品) Salesforce Data 360
主な目的 マーケティング活動の最適化 全社的な顧客データ活用
対象製品 主にMarketing Cloud Customer 360全体(Sales, Service, etc.)
アーキテクチャ データ連携・同期が基本 ゼロコピーアーキテクチャをサポート
連携機能 マーケティング施策との連携が中心 FlowやAgentforceと深く連携し、業務プロセスを自動化

対象となるユースケースの範囲

前述の通り、最大の違いはユースケースの範囲です。Salesforce CDPは、主にマーケティング担当者がオーディエンスのセグメンテーションや広告配信に活用することを想定していました。一方、Data 360は、Sales Cloud、Service Cloud、TableauなどCustomer 360の製品群全体で利用されることを前提に設計されており、全社的なデータ活用基盤としての役割を担います。

ゼロコピーアーキテクチャによる高速処理

Data 360は「ゼロコピー(Zero-Copy)」アーキテクチャを採用しています。これは、Snowflakeなどの外部データウェアハウスに格納されているデータをData 360内に複製・移動することなく、直接参照できる技術です。これにより、ストレージコストを削減しつつ、常に最新のデータに高速でアクセスすることが可能となり、真のリアルタイム性を実現します。

Salesforceプラットフォーム全体での活用

Data 360のデータとインサイトは、Salesforceの自動化ツールである「Flow」やAI「Agentforce」とシームレスに連携します。例えば、「LTVが高い顧客から問い合わせがあった場合に、自動的に経験豊富な担当者に優先的に割り当てる」といった高度な業務プロセスの自動化が、プラットフォーム上で完結できます。

参考:Salesforce Flow – 複雑なプロセスを簡単に自動化 | セールスフォース・ジャパン

Salesforce Data 360の料金体系

Salesforce Data 360の料金は、基本となるエディション料金と、使用量に応じたクレジットの組み合わせで構成されています。

エディション別の基本料金

Data 360には、企業の規模やニーズに応じた複数のエディション(例:Starter, Pro, Enterprise)が用意されています。エディションごとに、利用できる機能や標準で付与されるクレジット量、格納できるデータ量の上限などが異なります。自社の要件に合ったエディションを選択することが最初のステップとなります。

データサービスと従量課金クレジット

Data 360の利用料金の多くは、「クレジット」という単位で消費されます。このクレジットは、取り込むデータの量、実行するセグメンテーションの複雑さ、AIモデルの利用頻度など、様々なデータサービスの利用量に応じて消費されます。これにより、利用した分だけ支払うという柔軟な価格体系が実現されていますが、前述の通り、利用量の見積もりが重要になります。詳細な価格については、Salesforceの営業担当者への問い合わせが必要です。

まとめ

Salesforce Data 360は、単なるCDPにとどまらず、企業のあらゆる顧客データをリアルタイムで連携・統合し、AIの力で価値を引き出す次世代のデータプラットフォームです。導入することで、部門の壁を越えたデータ活用を促進し、顧客一人ひとりに対して深くパーソナライズされた体験を提供することが可能になります。この記事が、SalesforceData 360の理解を深め、データ活用戦略を検討する上での一助となれば幸いです。

Salesforce Data 360の導入・活用には、確かな技術力とコンサルティング力が不可欠です。
JSOLは、300名以上のSalesforce認定技術者と豊富な実績で、お客様のデータ統合基盤構築を支援します。
データ活用による業務変革をお考えなら、ぜひお気軽にご相談ください。
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