2026年07月07日
Salesforce Sandboxとは?
4つの種類や選び方、作成手順を解説
Salesforce Sandboxとは、本番環境に影響を与えずに開発やテストを行うための安全なコピー環境です。
この記事ではSandboxの基本から4つの種類ごとの特徴、用途に合わせた選び方、具体的な作成手順までを分かりやすく解説します。
Salesforceで新しいアプリケーションを開発したり、既存の機能を改修したりする際に、「本番環境で直接作業するのはリスクが高い」と感じたことはありませんか。万が一のミスがビジネス全体に影響を及ぼす可能性があるため、安全なテスト環境の確保は非常に重要です。その解決策となるのが「Salesforce Sandbox」です。この記事では、Salesforce Sandboxの基本的な概念から、4つの種類とそれぞれの特徴、用途に合わせた選び方、そして具体的な作成手順までを丁寧に解説します。
Salesforce Sandboxとは?開発に不可欠なテスト環境
Salesforce Sandboxは、Salesforceの運用・開発において中心的な役割を果たす重要な機能です。まずは、Sandboxがどのようなもので、なぜ必要なのかという基本的な部分から理解を深めていきましょう。
参考: Salesforce Sandbox:Sandbox開発環境|セールスフォース・ジャパン
本番環境から隔離された安全なコピー
Salesforce Sandboxとは、一言で言えば「本番環境のコピー」です。実際のビジネスで利用している顧客データや設定(メタデータ)が含まれる本番環境とは完全に隔離された、独立した環境のことを指します。この隔離された環境で、新しいアプリケーションの機能開発、Apexコードの作成、プロセスの自動化、レイアウト変更など、さまざまなカスタマイズを試すことができます。Sandbox内で行った操作は、本番環境には一切影響を与えないため、開発者や管理者は安心して作業に集中できます。
なぜSandboxが必要なのか?その重要性
Sandboxがなければ、開発やテストといった作業をすべて本番環境で行うことになります。これは、システムのバグや設定ミスが直接ユーザーの業務を停止させたり、重要な顧客データを破損させたりするリスクと常に隣り合わせであることを意味します。
Sandboxを利用することで、これらのリスクを回避し、システムの変更を本番環境に適用する前に、品質を十分に検証できます。新しい機能が既存の機能と干渉しないか、想定通りに動作するかなどを事前に確認することで、高品質で安定したシステムをユーザーに提供することが可能になります。
Salesforce Sandboxの4つの種類とそれぞれの特徴
Salesforceでは、用途や必要なデータの量に応じて4種類のSandboxが提供されています。それぞれの特徴を理解し、プロジェクトの目的に合ったものを選択することが重要です。
| Sandboxの種類※2026/3時点 | 主な用途 | データストレージ | 更新間隔 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Developer Sandbox | 開発、単体テスト | 200MB | 1日 | メタデータのみをコピーする基本的なSandbox。 |
| Developer Pro Sandbox | 比較的大きな開発、結合テスト | 1GB | 1日 | Developer Sandboxよりデータ容量が大きい。 |
| Partial Copy Sandbox | UAT(ユーザー受け入れテスト)、トレーニング | 5GB | 5日 | メタデータと本番データの一部(サンプル)をコピー。 |
| Full Copy Sandbox | パフォーマンステスト、本番に近い総合テスト | 本番環境と同じ | 29日 | メタデータと本番の全データをコピーする完全なレプリカ。 |
Developer Sandbox
Developer Sandboxは、開発とテストの基本的なニーズに応えるために設計された環境です。本番環境のメタデータ(オブジェクト設定、Apexクラス、Visualforceページなど)のみをコピーし、レコードデータは含まれません。そのため、環境の作成や更新が迅速に行えます。主に、開発者個人の開発環境や、新しい機能の単体テストの場として活用されます。
Developer Pro Sandbox
Developer Pro Sandboxは、Developer Sandboxの機能に加え、より多くのデータストレージ(1GB)を提供します。これにより、単体テストだけでなく、複数の機能を組み合わせた結合テストや、より多くのテストデータを必要とする品質保証(QA)テストにも対応しやすくなります。基本的な機能はDeveloper Sandboxと同じですが、より大規模な開発プロジェクトに適しています。
Partial Copy Sandbox
Partial Copy Sandboxは、本番環境のメタデータに加えて、本番データの一部をサンプルとしてコピーできる点が大きな特徴です。どのオブジェクトからデータをコピーするかは「Sandboxテンプレート」を使用して定義できます。これにより、実際のデータに近い環境でユーザー受け入れテスト(UAT)や、新任者向けの操作トレーニングを実施することが可能になります。
Full Copy Sandbox
Full Copy Sandboxは、本番環境の完全なレプリカです。すべてのメタデータとレコードデータがコピーされるため、本番環境とほぼ同一の環境でテストを実施できます。特に、本番リリース前の最終検証や、システムの負荷を測定するパフォーマンステスト、ステージング環境としての利用に最適です。ただし、データ量が膨大になるため、作成や更新には時間がかかり、更新間隔も29日と長めに設定されています。
参考: Platform Sandboxの価格|セールスフォース・ジャパン
用途別!Salesforce Sandboxの最適な選び方
4種類のSandboxの特徴を理解した上で、次は具体的なシナリオごとに最適なSandboxを選択する方法を見ていきましょう。プロジェクトのフェーズや目的に合わせて適切に使い分けることが、開発効率と品質の向上につながります。
開発と単体テストにはDeveloper Sandbox
新しいApexトリガーを作成したり、フローを構築したりするなど、開発者が行う日々の開発作業や単体テストには、Developer Sandboxが最適です。環境の作成や更新が素早く行えるため、開発サイクルをスピーディに回すことができます。必要なテストデータは、手動で作成するか、データローダーなどでインポートして準備します。
より多くのデータが必要な開発と結合テスト
複数の開発者が作成した機能を組み合わせてテストする場合や、ある程度のテストデータを扱いたい場合には、Developer Pro Sandboxが適しています。Developer Sandboxよりもストレージ容量が大きいため、より複雑なシナリオのテストにも対応できます。
本番に近いデータでのユーザー受け入れテスト
開発した機能がビジネス要件を満たしているかを業務担当者が確認する「ユーザー受け入れテスト(UAT)」では、Partial Copy Sandboxが活躍します。本番データの一部をコピーできるため、ユーザーは実際の業務に近いデータを使って操作感や機能の妥当性を確認できます。これにより、本番リリース後の手戻りを大幅に削減できます。
パフォーマンステストや本番リリースの最終検証
多くのユーザーが同時にアクセスした際のシステムの応答速度を測定するパフォーマンステストや、本番環境へのリリース直前の最終的なリハーサルには、Full Copy Sandboxが不可欠です。本番環境と全く同じデータ量と設定を持つため、最も信頼性の高いテスト結果を得ることができます。
Salesforce Sandboxの作成方法
ここでは、実際にSalesforceの画面でSandboxを作成するための基本的な手順を解説します。作業にはSalesforceのシステム管理者権限が必要です。
手順1:利用可能なSandboxライセンスの確認
まず、自社でどの種類のSandboxをいくつ作成できるかを確認します。Salesforceの[設定]メニューから、クイック検索ボックスに「組織情報」と入力して開きます。ページ内に「Sandboxライセンス」のセクションがあり、契約しているライセンスの種類と、利用可能な数、作成済みの数が表示されています。
手順2:作成するSandboxタイプの選択と命名
次に、[設定]メニューのクイック検索ボックスに「Sandbox」と入力し、[Sandbox]ページを開きます。[新規Sandbox]ボタンをクリックすると、作成画面に遷移します。ここで、Sandboxの名前と説明を入力し、作成元(通常は本番環境)を選択します。そして、利用可能なライセンスの中から、作成したいSandboxのタイプ(Developer、Developer Proなど)を選択します。
手順3:作成の開始と有効化の確認
必要な情報を入力し、[作成]ボタンをクリックするとSandboxのコピープロセスが開始されます。環境の準備が完了すると、Salesforceから通知メールが届きます。メール内のリンクをクリックするか、再度[Sandbox]ページにアクセスし、作成したSandboxの横にある[ログイン]ボタンからアクセスして有効化します。これで、新しいSandbox環境が利用可能になります。
Salesforce Sandboxの更新と注意点
Sandboxは一度作成したら終わりではありません。本番環境は日々変化していくため、Sandboxの内容も定期的に最新の状態に保つ必要があります。
Sandboxを更新するタイミング
Sandboxのデータや設定が古くなると、本番環境との差異が大きくなり、テストの精度が低下します。例えば、本番環境で新しい項目が追加されたのに、古いSandboxで開発を続けると、リリース時にエラーが発生する可能性があります。これを防ぐため、新しい開発プロジェクトを開始する前や、定期的なメンテナンスの一環としてSandboxを更新(リフレッシュ)することが推奨されます。
更新の手順と考慮すべきポイント
Sandboxの更新は、作成時と同様に[設定]の[Sandbox]ページから行えます。更新したいSandboxの横にある[更新]ボタンをクリックすることで、現在の本番環境の内容が再度コピーされ、Sandboxは最新の状態になります。
ただし、更新を行うと、そのSandbox内に保存されていた既存のデータや設定はすべて上書きされて消えてしまう点に注意が必要です。更新前に、必要なデータや開発途中のコードなどがないか必ず確認し、必要であればバックアップを取得しておきましょう。
Salesforce Sandboxを効果的に活用するポイント
Sandboxを最大限に活用し、開発プロセス全体をスムーズに進めるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
用途に応じたSandboxタイプを使い分ける
前述の通り、Sandboxにはそれぞれ得意な役割があります。日々の細かい開発はDeveloper Sandboxで、UATはPartial Copy Sandboxで、そして最終テストはFull Copy Sandboxで行うなど、開発のライフサイクルに合わせて複数のSandboxを戦略的に使い分けることが、効率と品質の両立につながります。
定期的な更新で本番環境との差分をなくす
Sandboxの環境が本番環境と大きく異なっていては、精度の高いテストは行えません。特に長期間にわたるプロジェクトでは、定期的にSandboxを更新し、本番環境との同期を保つことが重要です。これにより、「Sandboxでは動いたのに本番では動かない」といった問題を未然に防ぐことができます。
変更セットやDevOpsツールでリリース管理を効率化する
Sandboxで開発・テストが完了したカスタマイズ内容は、最終的に本番環境へリリース(デプロイ)する必要があります。Salesforceには「変更セット」という機能があり、これを使うことでSandboxから本番環境へ安全に変更内容を移行できます。また、より大規模で複雑な開発では、Salesforce DevOps Centerなどのツールを活用することで、リリース管理をさらに自動化・効率化できます。
参考: 最高のDevOpsツールとプラットフォーム | Salesforce DevOps センター | セールスフォース・ジャパン
まとめ
Salesforce Sandboxは、本番環境に影響を与えることなく、安全に開発、テスト、トレーニングを行うための不可欠なツールです。Developer、Developer Pro、Partial Copy、Full Copyという4つの種類があり、それぞれの特徴を理解し、プロジェクトの目的に応じて適切に使い分けることが成功の鍵となります。
本記事で紹介した選び方や作成手順、活用ポイントを参考に、ぜひ効果的なSandbox運用を実現してください。
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