2026年08月26日
Salesforceノーコード開発とは
標準機能の活用と導入事例
Salesforce導入において、「開発コストや期間が膨らむ」「運用が属人化する」といった課題に直面するケースは少なくありません。こうした背景には、業務要件をそのままシステムに反映しようとすることで、カスタマイズに依存した開発になりやすい構造があります。
このような状況を避けるためには、Salesforceの標準機能で対応できる範囲と、個別設計が必要な範囲を初期段階で見極めることが重要です。標準機能を活用した設計により、過度な個別開発を抑えながら、保守性や将来的な拡張性を考慮した構成を検討しやすくなります。
本記事では、ノーコード開発の基本的な考え方から、カスタマイズに依存した開発の課題、具体的なアプローチ、導入事例までを整理します。
Salesforce導入や運用の見直しをご検討の方は、ぜひ参考にしてください。
現行システムや業務フローに応じた検討のポイントについても整理しています。
ノーコード開発とは
ノーコード開発の定義と特徴
Salesforce導入では、開発効率と運用のしやすさを両立するために、標準機能を活用したノーコード開発が選択肢となる場合があります。
ノーコード開発とは、プログラミング言語を用いずに、ドラッグ&ドロップや設定画面で業務アプリケーションを構築する手法です。Salesforceの標準機能やツールを活用することで、専門的なコーディングを最小限に抑えながら開発を進めることができます。
主な特徴は以下の通りです。
● 開発期間を抑えやすい
● 設定ベースで変更・改善を行いやすい
● 運用後の見直しに対応しやすい
● 個別開発への依存を抑えやすい
ただし、すべての業務要件をノーコードだけで満たせるわけではありません。業務の複雑さや既存システムとの連携要件によっては、ローコードや個別開発を組み合わせる設計が必要になります。
ノーコードとローコードの違い
ノーコードはプログラミング不要で完結する開発を指し、ローコードは必要最小限のコードを書くことでより高度なカスタマイズを可能にします。
Salesforce導入では、標準機能で対応できる範囲を見極めたうえで、必要に応じてローコードや個別設計を組み合わせることが重要です。
このように、ノーコードかスクラッチかの二択で考えるのではなく、業務要件・保守性・拡張性のバランスを踏まえて設計することが、長期的に運用しやすいシステム構築につながります。
なぜSalesforceはカスタマイズに走ってしまうのか
よくある導入時の判断
Salesforce導入時には、「現行業務をそのまま再現したい」「ユーザーの使い勝手を優先したい」といった理由から、業務要件を細かくシステムに落とし込もうとするケースが多く見られます。
また、既存システムとの整合性や現場の要望を優先する中で、標準機能では対応しきれない部分をカスタマイズで補う判断が積み重なり、結果としてコードベースの開発に依存していく、という傾向があります。
カスタマイズ依存による課題
こうした開発が進むと、以下のような課題が生じます。
● 開発コスト・期間の増大
● バージョンアップ時の影響範囲拡大
● 保守・運用の複雑化
● 要件変更時の柔軟性低下
これらの課題は、短期的には業務フィットを実現できているように見えても、中長期的には運用負荷や改修コストの増加につながる要因となるのです。
そのため、Salesforce導入では、「標準機能で対応できる範囲」と「個別設計が必要な範囲」を、初期段階で整理することが重要となります。
ノーコード開発とスクラッチ開発の違いと選び方
Salesforceでは、標準機能を活用するノーコード開発のほかに、個別要件に応じてプログラミングで構築する「スクラッチ開発」という手法も選択肢として存在します。
ノーコード開発とスクラッチ開発には、それぞれ特性があり、どの開発手法を選択するかは、目的や運用方針によって異なります。
| 項目 | ノーコード開発 | スクラッチ開発 |
|---|---|---|
| 開発期間 | 標準機能で対応できる範囲では短縮しやすい | 要件に応じて長期化しやすい |
| 開発コスト | 個別開発を抑えやすい | 開発範囲に応じて高くなりやすい |
| 保守性 | 設定ベースのため管理しやすい | カスタム依存により負荷が高まりやすい |
| 拡張性 | 標準機能の範囲で拡張しやすい | 個別要件に合わせやすい一方、保守負荷が高まりやすい |
| バージョンアップ影響 | 影響を受けにくい | 影響範囲が広がりやすい |
| 開発者依存度 | 比較的低く、運用負荷を抑えやすい | 専門人材への依存度が高まりやすい |
このように、標準機能を活用したノーコード開発は、保守性や運用性の観点でメリットがある一方で、すべての要件を単独で満たすものではありません。
そのため、標準機能を前提としながら、必要に応じてカスタマイズを組み合わせる設計が重要になります。
ここまでの内容を踏まえ、自社のSalesforce導入や運用に当てはめて検討したい場合は、導入支援の全体像をまとめた資料もあわせてご確認ください。
Salesforce導入支援に関する資料ダウンロードはこちら
https://go.jsol.co.jp/lp/download/00021
Salesforce標準機能を活用したノーコード開発の進め方
こうしたカスタマイズに依存した開発では、保守・運用の複雑化や改修コストの増加が課題になりやすくなります。こうした課題を抑えるには、Salesforceの標準機能を活用し、必要に応じてカスタマイズを組み合わせる設計が重要です。
Salesforce導入支援において、標準機能でどこまで実現できるかを見極めながら、保守性や拡張性を考慮した設計を行っています。
Salesforce開発プロセスの5ステップ
ノーコード開発を検討する際は、業務ヒアリングで要件を整理し、Salesforceの標準機能で実現できる範囲を見極めることが重要です。そのうえで、画面・プロセス・自動化機能を設定し、運用状況を確認しながら改善を重ねることで、継続的に活用しやすい状態を目指します。
標準機能を活用した設計は、保守性や拡張性を確保しながら、運用後の変更や改善にも対応しやすい点が特徴です。
こうした考え方をもとに、JSOLがSalesforce Sales Cloudを活用した営業支援システムを構築した事例として、株式会社モリタ様の取り組みがあります。
モリタ様事例:85%ノーコードで営業効率の改善
背景と課題
株式会社モリタ様では、中期経営計画2022〜2026「SWITCH」において、DXへの積極的な取り組みによる未開拓分野でのシナジー創出を経営方針として掲げていました。
その実現に向け、お客さま情報の一元化による顧客対応の統一とCS向上、代理店ポータル・ユーザーポータルなど、新たな顧客接点の創出によるUX向上が重要なテーマでした。
JSOLのソリューション
JSOLは、Salesforce Sales Cloudを活用した営業支援システムの計画立案・構築を支援しました。業務レベルの課題やニーズを踏まえ、Salesforce標準機能を組み合わせた仕様案を提案し、主要業務機能の85%をノーコードで構築しています。
Salesforce導入による業務改善ビフォーアフター図
成果と効果
導入後は、Sales Cloudを活用した営業支援基盤により、以下のような変化が生まれています。
● 営業活動に必要な情報を集約し、一つのシステムで管理できる基盤を整備
● 見込み情報から成約までの営業情報を管理可能に
● KPI達成状況や営業活動の進捗状況を可視化
● 営業現場のワークスタイル変革や、今後の顧客接点拡張に向けた土台を構築
出典:JSOLニュースリリース(株式会社モリタ様)
https://www.jsol.co.jp/release/2024/240424.html
ノーコード開発を検討する際のポイント
ノーコード開発を検討する際は、以下のような観点を整理しておくことが重要です。
標準機能で対応できる範囲の見極め
Salesforceの標準機能やアップデート情報を踏まえ、どこまで設定ベースで対応できるかを整理します。
業務課題に合わせた柔軟な設計
単なるシステム化にとどまらず、業務プロセスの見直しも含めた設計を行います。
継続的な運用支援
導入後も利用状況を踏まえながら、段階的に改善・拡張を進められる体制を構築します。
ノーコード開発におけるコスト・期間の考え方
ノーコード開発を検討する際は、標準機能で対応できる範囲を見極めることで、開発コストや期間、運用負荷の観点で効率化を図りやすくなります。
ただし、効果の大きさは業務要件や既存システムとの連携範囲、カスタマイズの有無によって異なります。以下は、スクラッチ開発とノーコード開発を比較した場合の一般的な傾向です。
| 項目 | スクラッチ開発 | ノーコード開発 |
|---|---|---|
| 初期開発費用 | 個別開発が増えるほど高くなりやすい | 標準機能を活用することで抑制しやすい |
| 保守・運用費用 | カスタムコードが増えるほど負荷が高まりやすい | 標準機能ベースのため管理しやすい |
| 開発期間 | 要件に応じて長期化しやすい | 標準機能で対応できる範囲では短縮しやすい |
| 変更対応 | 専門人材への依存が高まりやすい | 設定変更で対応できる範囲がある |
| バージョンアップ対応 | 影響範囲の確認が大きくなりやすい | 影響を抑えやすい |
自社の業務においてどの程度の効果が見込めるかを具体的に整理したい場合は、Salesforce導入支援の資料をご確認ください。
現行の業務やシステム構成に応じた検討のポイントをご紹介しています。
Salesforce導入支援に関する資料ダウンロードはこちら
https://go.jsol.co.jp/lp/download/00021
まとめ
Salesforce導入では、標準機能で対応できる範囲と、個別設計が必要な範囲を見極めることが重要です。ノーコード開発はその選択肢の一つであり、適切に活用することで、開発コストや期間、運用負荷の最適化につながる場合があります。
一方で、すべての要件をノーコードで対応することが目的ではありません。業務要件や既存システムとの連携、運用後の変更可能性を踏まえ、必要に応じてローコードや個別開発も組み合わせながら設計することが、長期的に活用しやすいSalesforce基盤の構築につながります。
本記事でご紹介したような考え方を自社に適用した場合の進め方や検討ポイントについては、導入支援の資料で詳しくご紹介しています。
まずは情報収集から進めたい方は、以下よりご確認ください。
Salesforce導入ガイド資料ダウンロード
https://go.jsol.co.jp/lp/download/00021
また、自社の状況に合わせた進め方を検討したい方は、個別のご相談も可能です。
JSOLのSalesforce導入支援サービスはこちら
https://promotion.jsol.co.jp/salesforce/
よくある質問
Q1. Salesforceノーコード開発を検討しやすいケースはありますか?
A1. 業務変更が多く、運用しながら改善を重ねたい場合や、標準機能を活用して開発・運用負荷を抑えたい場合に検討しやすい手法です。ただし、適用範囲は要件によって異なるため、事前に標準機能で対応できる範囲を見極めることが重要です。
Q2. ノーコード開発で対応できない要件はありますか?
A2. 高度な業務ロジックや特殊な外部システム連携など、一部の要件についてはコード開発が必要となる場合があります。ノーコードで対応できる範囲と、ローコードや個別開発が必要な範囲を切り分けることが重要です。要件に応じて適切な開発手法を組み合わせることで、保守性や拡張性を考慮した設計につながります。
Q3. 導入後の運用サポートはありますか?
A3. JSOLでは、導入後の運用や改善まで見据えた支援を行っています。利用状況や業務変化に応じて、継続的な改善を進められる体制づくりを支援します。